産後の骨盤周囲のトラブルで困ったら

記事執筆者
木村柄珠

理学療法士 Physical Therapist
山口県体育協会認定トレーナー
フィジカルプラス代表
毎年国体山口県チームに帯同しています。

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産後の体のトラブルについて

産後は、身体のさまざまな変化が起こります。その中には、身体の痛みや不調などのトラブルも含まれます。特に産後のトラブルでは、姿勢の変化や骨盤底筋群などの状態の変化が大きく関わっています。

身体の痛みや不調

産後の腰痛

産後の身体の痛みや不調の中でも代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 会陰切開や帝王切開の傷の痛み
  • 腰痛
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 股関節痛
  • 骨盤底筋群の痛み
  • 腹直筋離開
  • 尿もれ
  • 便秘

出産は、身体に大きな負担をかけるものです。そのため、出産によって身体のさまざまな部分が傷つき、痛みや不調を引き起こすことがあります。

姿勢や筋力の低下、ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、特に骨盤底筋群が傷ついたり、緩んだりしやすくなります。骨盤底筋群のトラブルは、尿もれや子宮脱、便秘などの原因になりやすく注意が必要です。

産後のトラブルの予防

産後のトラブルを予防するためには、以下のことに注意しましょう。

  • 妊娠中から、適度な運動や骨盤底筋トレーニングを行い、身体を鍛える
  • 出産に向けて、産褥期のケアについて学ぶ
  • 育児のサポート体制を整える

産後のトラブルの対処法

産後のトラブルが起きてしまったら、まずは無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。

産後は、体調が回復するまで、焦って無理な運動を行うことは控えましょう。体型の崩れが気になり早い時期からお腹周りのトレーニングを行うことは避けるようにしましょう。

特に、腹筋運動は、腹直筋離開を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。腹直筋離開については以下でもう少し詳しく述べていきます。

腹直筋離開とは

腹直筋離開とは、妊娠中に大きくなった子宮によって、腹直筋の真ん中にある白線が伸び切ってしまう状態です。白線は、腹直筋をつなぎ合わせる結合組織で、妊娠中にホルモンの影響で伸びやすくなります。

腹直筋離開チェック方法

産後、白線は自然と修復されることが多いですが、完全に元通りになるまでには、6ヶ月から1年程度かかるといわれています。

産後すぐに腹筋運動を行うと

産後すぐに通常の腹筋運動を行うと、白線がさらに伸びてしまい、腹直筋離開が悪化することがあります。また、妊娠中に引き伸ばされていた筋肉群の働きも悪く、無理をすると骨盤底筋群に負荷がかかりすぎるため、尿もれや仙腸関節痛などのトラブルを引き起こすこともありますので腹横筋などの筋肉の活動を徐々に高めて腹直筋には初めのうちは負荷をかけすぎないことが大切になります。

産後の骨盤底筋群の鍛え方

産後の骨盤底筋群の鍛え方には、以下の方法があります。

ドローインとは、お腹をへこませながら、息を吐き出す運動です。

ケーゲル体操とは、尿意を我慢するような感覚で、腟や肛門を締める運動です。おおよそ産後3週後くらいから始めると良いでしょう。

詳細は上記のリンクを御覧ください。

産後のトラブルを予防するために

産後のトラブルを予防するためには、産前から適度な運動を行い、腹筋や骨盤底筋を鍛えておくことが大切です。厳密には鍛えるというよりも機能的に使えるというイメージを持っておくと良いでしょう。

尿もれのある方は、無理に我慢せず、すぐにトイレに行きましょう。

具体的には、以下のことに注意しましょう。

  • ウォーキングや水泳など、無理のない範囲で運動する
  • 骨盤底筋トレーニングを習慣づける
  • 妊娠中の体重増加を適度に抑える

産後は、体調が回復するまで、無理をせず、ゆっくりと体作りを進めていきましょう。

骨盤底筋群の鍛え方の注意点

ゲーゲル体操などの骨盤底筋群の鍛え方で注意したいのは、以下の点です。

  • いきなり強い力で鍛えると、骨盤底筋群に負担がかかりすぎる可能性があります。急に効果が出ることはないので、毎日少しずつ、継続して行うことで、効果的に骨盤底筋群を鍛えることができます。
  • 腹圧を強く高めると、白線がさらに伸びてしまう可能性があります。また、呼吸を止めると、腹筋に力が入りすぎるため、骨盤底筋群に余計な負荷がかかります。初めのうちは呼吸トレーニングを中心に少しずつ行うようにします。

産後のコンディショニングについて

フィジカルプラスで行う産後のトレーニング(普通分娩の場合)は以下のような形で行います。帝王切開の場合は傷がきちんと良くなってからもう少し時間をかけてゆっくりになります。

体重で言うと産後6ヶ月頃に元の体重に戻れば普通ですので絶対に焦らないことです。体の機能的には8ヶ月くらいを目処に考えておくと良いでしょう。

産後1ヶ月から1ヶ月半ごろ

呼吸トレーニングを始めます。その際妊娠中の姿勢の崩れなどにより肋骨の動きや骨盤周囲の動きが悪くなっていることがあるため施術によって必要な動きを出しやすい状態にします。腰痛などに対するアプローチも体に負担をかけないように少しずつ行います。

慣れてきたら少しずつゲーゲル体操に準じた腹横筋や骨盤底筋群、横隔膜などのインナーマッスルに刺激を入れていきます。

産後2ヶ月頃から3ヶ月ごろ

上記の内容に加え徐々に腹直筋に弱い刺激を入れるトレーニングを行いますが、この時もまだいわゆる腹筋運動は行いません。プランク運動などについても行いません。

産後3ヶ月以降

体の状態に合わせて少しずつ負荷をかけていきますが、強い負荷はまだここでもかけません。

徐々に体が機能的に動かせるように自重を利用した体幹トレーニングを取り入れていきます。

ほとんどの方で産後5ヶ月から6ヶ月頃からしっかりと負荷をかけていく運動を行えるようになっていきますので焦らないことが大切です。

各時期に2回程度ご来店頂き、それ以外はご自宅で実践して頂きますのですべて合わせて6回~8回程度を目処にして終了になります。

料金等についてはコンディショニングコースに準じます。

下関近郊で産後のトラブルで困ったらフィジカルプラスにご相談ください。