変形性膝関節症のつらい痛みを軽減する姿勢を身につける方法とは

記事執筆者
木村柄珠

理学療法士 Physical Therapist
山口県体育協会認定トレーナー
フィジカルプラス代表
毎年国体山口県チームに帯同しています。

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膝が痛い
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変形性膝関節症のつらい痛みは姿勢やアライメントで変わる

変形性膝関節症では膝の変形の程度によって求めるゴール地点が少し異なってきますが、どちらの場合も、関節アライメントと呼ばれる骨の配列を調整し、痛みの原因となっている普段の姿勢を変えていくことで、長引く膝の痛みからの脱却を図ります。

変形の少ない方では日常生活における痛みをほとんど意識しない事を目的とし、変形の強い方では痛みの軽減を求めつつセルフケアで痛みをコントロールし日常生活を楽にすることを目的として姿勢を変えていくことが必要になります。

姿勢で変形性膝関節症の痛みが変わるのか?とお考えの方も多いと思いますが、実際に変形性膝関節症の方では特徴的な姿勢をとっている方が多く、医療現場でもその特徴をほんのちょっとだけ変えるだけで驚くほど痛みが軽減することがあります。

以下に痛みを軽減するために必要なポイントをいくつか挙げていきますので確認してみてください。

1 股関節と足関節が動くと膝の痛みは軽くなる!

コンディショニング

変形性膝関節症の方は多くの場合、股関節や足関節の可動域制限がみられます。膝関節はこれらの2つの関節に挟まれて互いに影響を及ぼしているのですが、ほとんどの方が膝が痛いと膝だけに注目しがちです。

実際には股関節と足関節の関節可動域が拡大するだけでも、膝関節のアライメントに変化が出るため、姿勢が変わり膝の痛みの原因と考えられる膝周囲の筋肉の過剰な緊張が取れ楽になることを多く経験しています。

膝に痛みを感じてから時間が経っている場合は、膝関節の軟部組織などが硬く、十分な可動域を得られない場合もありますが、股関節と膝関節の可動域が広がると結果として膝の伸展可動域はいくらか向上します。

すると立ち上がりや歩行時に膝に架かる負担が減ることで足をついたときの膝の痛みは軽減しやすくなります。

変形が強い場合も諦めないで下さい。

次に足関節に着目してみると、膝の痛みのある方ではふくらはぎの筋肉に過剰な緊張や短縮が見られていることがあります。

ふくらはぎの筋肉に対するエクササイズはこちらもどうぞ

ふくらはぎの筋肉の一部(腓腹筋)は膝の上までつながっているため、これによって膝がしっかりと伸びず、膝の痛みの原因となっている方がおられます。

またふくらはぎの筋肉の状態は、足底の可動性と関連性も強いため、足底の柔軟性も膝の痛みに関係することがあります。

足底をしっかりと柔らかく保つことでへの荷重時の姿勢の偏りが少なくなり、膝に負担のかかる姿勢を取りにくくすることもできます。

このように股関節と足関節の動きが変わると、膝の関節アライメントは変化し、結果として立ち上がりや歩行などの動作時にバリエーションが増え膝の特定の部位への過剰な負担がなくなり、膝の痛みが軽減するのです。

2 荷重方法を変えると姿勢が変わり、膝がもっと楽になる

膝に痛みを抱えている方の多くは足を地面についた際に、膝が十分に伸びなかったり、関節のアライメントにずれが生じている状態と言えます。

これは言い換えると足に荷重する際の姿勢が悪くなっていると言えます。

実際には膝周囲の筋肉だけでなく、姿勢からの影響で力の入れ方に偏りが生まれているからで、この偏りによって足をついたときに痛みの出やすい荷重方法となり、膝が痛むのです。

関節アライメント不良に対して、荷重方法を変えると、力の入れ方などが自然と変化し、膝の痛みは楽になります。

痛みを解消する荷重方法のトレーニングはこちら

関節アライメントの詳細なトレーニングはこちら

自分でできる簡単な痛みの取れやすい荷重練習方法をご紹介!

1 つま先で立ちで歩いたり、立ったりを繰り返す

変形性膝関節症のエクササイズ

つま先立ちになることで、荷重はつま先寄りになります。普段かかとよりの荷重方法で歩いている方の場合はこのようにするだけで姿勢が変わり膝の痛みが楽になります。

実際に行う時は転倒に注意してバランスに不安のある方は杖や手すりなどを利用しましょう。毎日繰り返すと膝の痛みが楽になることがわかってきます。

2 足の小指側をついて歩く

足の小指側に荷重

画像のように小指側に荷重することで、土踏まずが普段うまく機能していない方でも親指側に荷重しなくなるため、姿勢が変わります。

またこれは変形性膝関節症の方では働きにくくなっている股関節の内転筋群にも刺激が入るようになるので、膝周囲の過剰な筋肉の緊張も落ちやすく非常に効果的です。

ただし、足首を捻りやすいので慣れるまでは杖や手すりなどを必ず利用しましょう。

3 足の指をしっかりと曲げてから歩く

足指の屈曲

変形性膝関節症の方では足の指がしっかりと曲がらない方が多くおられます。自分で手を使ってグイグイと曲げてみましょう。

人によっては音がしたり、痛みがある方もいると思いますが我慢できる範囲で構いません。しっかりと曲げていきます。

しっかりと曲げたら早速歩いてみてください。

片方ずつやってみるとやっていない側と比べ歩きやすいことがすぐに体感できるはずです。

これはふくらはぎの筋肉が緩み、膝が少し伸びやすくなることによって起こる姿勢の変化によるものです。

無理せず少しずつやってみましょう。

これらの方法は筋力トレーニングというよりも動作方法の獲得ですので、体力に自信のない方でも簡単に行うことが出来るものです。

慣れればご自宅で継続していくことで痛みをコントロールすることが出来るようになります。膝の痛みで困っていればぜひお試しください。くれぐれも無理のないようにお願いします。

3 姿勢の制御法を変えるなら腹圧も重要です

膝関節疾患の方では歩行様式だけでなく、多くの場合姿勢の制御によって反り腰猫背や円背などの姿勢の問題を抱えています。

背骨自体の変形があったり、長年同じ姿勢をとっている場合でも腹圧の向上や力の入れ方が変わると痛みの影響を少なくすることは可能です。

腹圧の向上については、難しく考えてしまいがちですが、簡単にやろうと思えば、風船を膨らますなどがわかりやすいでしょう。風船自体はあまり高価なものでもありませんので、購入して利用してみてはいかがでしょうか?

ただし、血圧の高い方は無理せず理学療法士などの専門家に相談して見てください。

コツとしては風船をしばらく繰り返し膨らましたら実際に歩いてみることです。

不思議と膝の痛みが軽減していることがわかると思います。もちろん皆さん全てそうなるとは限りませんが、繰り返すことで確実に姿勢には変化が現れます。

変形性膝関節症の痛みがなかなか取れず、困っていたらまずは姿勢を変化させていく意識を持ってもらえると良いのではないでしょうか?

くれぐれも無理は禁物です。

セルフケアは続けていくことが重要です

変形性膝関節症の痛みのある方では少しずつでも続けることが大切です。

今回は誰でも行いやすいということでポイントを押さえて紹介してみました。

ただやみくもに筋力トレーニングに励んだりするのではなく、必要に応じて効率よく適度に行う方が痛みを軽減する近道となります。

余計な時間やコストをかけずに日常生活における負担は少ないに越したことはありません。痛みが取れないと諦める前にやれることは少しずつでも構いませんのでやってみてください。

ここに記載した以外にも普段、間違ってしまいやすい動作(立ち上がりなど)についても繰り返し繰り返し行うことで徐々に正しい動きを理解していくことで膝の痛みは軽減して行くことが可能です。

実際にやってみた感想などありましたらLINEでメッセージをもらえると嬉しく思います。もちろん良くなかったというメッセージもあるかと思いますが、私自身が理学療法士として長年実際に治療に携わってきた結果から導いた運動方法なので、ぜひお試しください!

下関近郊の方であればフィジカルプラスで運動指導も可能です。

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