臼蓋形成不全などの股関節疾患の保存療法を積極的にやってみませんか?

記事執筆者
木村柄珠

理学療法士 Physical Therapist
山口県体育協会認定トレーナー
フィジカルプラス代表
毎年国体山口県チームに帯同しています。

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股関節
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股関節疾患でも保存療法を積極的にやってみる価値がある

リハビリテーションを受けない未手術の股関節は、失われた関節機能、低下した筋力、不良な動作など多くの問題があり、これらを再度回復するのには時間がかかり、効果が得られず、中途半端な結果が多いと言えます。

特に筋力回復においては、非常に根気が必要で継続することが困難な状況があります。

例えば、ここ下関においても、有名な保存療法の病院がなく、股関節の疾患のある方に対して、理学療法士が中心となる保存療法はあまり積極的に行われていません。

基本的には痛み止めによる痛みの抑制などで様子を見る、もしくは手術しかないと言われることが多いです。

フィジカルプラスへご来店の方によると、下関近郊にいる方からは、手術後でなければ、股関節のリハビリが行われていない印象が強いようです。

また、個人の努力や、対応する理学療法士によっても結果が異なるといった理由もあり、股関節リハビリがとっつきにくいものになっています。

現在の医療制度も、安定した治療結果を出すこと、利益などを考慮すると、医療機関で手術以外の選択肢を選ぶことが非常に難しいと考えられます。

特に筋力の回復においては本当に時間がかかり、非常に根気が必要となり継続することが難しい状況があると言えます。

実際に臼蓋形成不全きゅうがいけいせいふぜんにおいてリハビリ(保存療法)を行うことができるという事自体を全く知らない患者さんたちも多いのではないでしょうか?

しかしながら、様々な股関節疾患の方たちと接してきてみると、臼蓋形成不全の方では手術を検討する前にしっかりとした保存療法に取り組んで見る価値があると感じています。

というのも臼蓋形成不全自体は急に出現するわけではなく、生まれつきの骨格であるため痛みの出る原因が臼蓋形成不全によるものとは限らないからです。

また、変形性股関節症などの初期においても痛み自体に変動があったり、常に安定して痛むということもなく良いときと悪い時があることも多く、変形自体が痛みを誘発しているとは限らないと言えるため臼蓋形成不全同様に運動療法を中心とした股関節の保存療法は積極的にやって見る価値が十分にあると考えています。

臼蓋形成不全、股関節痛の方はこちらをどうぞ

股関節痛の方がやると良いトレーニングはこちら

医療機関において股関節の保存療法は微妙な存在である

理学療法士は医療機関で、基本的に医師の指示に従ってリハビリテーション業務を行います。しかし、医師が手術療法を重視すると、理学療法士は保存療法に対して消極的な傾向があります。

保存療法を選んでも、結果が出るまでには長い時間がかかり、モチベーションを維持することは大変です。また、現在の医療制度には「標準算定日数」という制限があり、保存療法を行う際には自動的に期限が決まってしまいます。

これは例えば股関節疾患などの運動器疾患では基本的には発症日から150日(5ヶ月)でリハビリの期間が終了になってしまうことです。

通常5ヶ月リハビリを継続すればかなりの方が症状が軽減すると思います。

しかしながら、どうしても股関節の状態が良くなってくると日常生活で気をつけていたことが段々と出来なくっなったり、頑張ってやっていたホームエクササイズなどを全くやらなくなってしまいます。

(痛みがなかったら確かにやらないのは当然です)

すると・・・ある時期からまた痛みが再発してしまうのです。

実際には、人間というものは理由がないのに頑張れない事が多いので、どんなに苦しんでいた方でも良くなると忘れます!(忘れると言うのは大切なことです)

大切なことは良くなっても時々自分の股関節の状態を確認するということなのですが、これがなかなか現在の医療制度ではうまく対応出来ていない部分だと考えています。

実際問題として臼蓋形成不全で困っている方は手術するほどではないが、痛みで日常生活がままならない方です。

このような方は病院では手術を勧められ、どこへ行ってよいのか迷い、治療院巡りなどをしてしまいがちです。

実際に総合病院などで処方を受けてリハビリを続けていたにも関わらず結果が出ずにフィジカルプラスにお越しの方もおられます。

このような状況を踏まえると、しっかりとした保存療法を理学療法士に対して処方してくれる医師、またその処方内容についてしっかりと実践できる理学療法士は多くないと感じています。

現実としては手術後のリハビリがメインとなってしまう事が多くあり、手術するほどでない人はどうすればよいのか余計に悩ませてしまうことで股関節の保存療法は非常に微妙な立ち位置になってしまうのです。

信頼できる場所をしっかりとリサーチしてみましょう!

また、整形外科等で「筋力をつけなさい」と無責任に言う医師が多いことに驚かされることもあります。笑ってしまうくらい雑な運動指導や実際に筋力低下があるかどうか評価をしていない場合も残念ながらあります。

適当な指示であっても医療機関で言われれば普通は頑張ってやってみようと思うのは当然ですし、まじめな人ほど頑張りすぎてかえって痛みを強くしてしまったりしまいます。

「姿勢をよくするために体幹トレーニングをしなさい」も同様で無理な姿勢を意識しすぎてかえって奇妙な動作に成り痛みが強くなったりおかしな姿勢で歩くようになったりすることもあります。

実際に筋力や姿勢などの状態は個人差があるためどこか一部分だけをメインにリハビリを行ってもなかなか良い結果にはなりません。

臼蓋形成不全、変形性股関節症、その他の股関節疾患でもそうですが同じ病名でも症状は様々で個人差があり、痛む個所や痛む状況も全く異なります。

一般の方には理解しづらいところであると思いますが本来はそれこそが理学療法士の専門性である「姿勢と動作」を生かすことであり、唯一保存療法を任せられる職業でもあると思っています。

ここを読まれた方は自分自身にに合った指導をしてくれる場所をしっかりリサーチして欲しいと思います。

リサーチする際のポイントは

診察時に筋力検査や関節の機能検査をしっかりとやってくれる医師、理学療法士がいるところ

手術室を持っておらず運動療法を中心とした保存療法に積極的に関わっているクリニック

股関節疾患の保存療法について記載のあるホームページがある整形外科

などを探してみると良いかもしれません。最後はやっぱり受診してみるしかないのですが。。。

まとめ

人の関節には、可動性と固定性という2つの機能があり、どちらかが不足するとカラダが正しく動かなくなります。

また、筋肉の影響もあり、動かすタイミングや順番によって痛み方が変わることもあります。

胸椎と股関節は元々可動性が大きく、年齢とともに制限が出やすいため、注意が必要です。

一方で腰椎は可動性が少ないため、過剰な動きが出ると体に影響が出やすいとされています。

胸椎や股関節のバランスを整えることで、腰痛が解消する場合もあるため、画像診断で問題が見つからなかった場合は、自分で胸椎や股関節の可動性を確かめてみることが重要です。

変形性膝関節症では保存療法は最初の選択肢として挙げられることが多いのですが、股関節では即手術を検討しましょうとなることが多いということもあります。

自分の股関節がおかしいと感じたらまずは情報収集をして適切な保存療法(おそらく理学療法になると思います)を行ってくれるところはないか探すことから始めてください。

ただし臼蓋形成不全をはじめとする、股関節疾患ではすべてが未手術となったり、痛みがすべて解決するわけではありません。

しかし・・・

変形などが少ないにもかかわらず、手術を勧められた

痛み止めなしでは日常生活を送れないほどの重症?

どんどん歩けなくなっている

などのような方でも手術以外の選択肢で解決できることがあります。

ここをご覧になった方々が少しでもご自分で納得の行く治療法に出会えることを切に願っています。

まずはあきらめずにしっかりとした情報収集を行って医療機関にかかりましょう。

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