股関節が硬くて靴下が履きにくい方へ。無理に足を上げず「楽に履く」ための身体の使い方とコツ

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
股関節の痛み・臼蓋形成不全
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

毎朝の着替えで、靴下を履く瞬間に「ウッ」と股関節が詰まるような痛みを感じていませんか?

「昔は立ったまま履けたのに…」 「足を組むのが怖くて、変な姿勢になってしまう」

股関節に変形(変形性股関節症)や臼蓋形成不全がある方にとって、靴下着脱は1日の中で最初の難関です。

実は、靴下が履きにくい原因は「股関節の硬さ」だけではありません。「背骨(脊柱)」と「骨盤」の連動がうまくいっていないことが、痛みを生み出しているケースが非常に多いのです。

今回は理学療法士の視点から、股関節に負担をかけずに靴下を履くための「動作のコツ」と「身体の使い方」を解説します。


なぜ、靴下を履く動作で股関節が痛むのか?

まず、痛みのメカニズムを整理しましょう。 靴下を履くとき、多くの方は無意識に「足を自分の胸の方へ引き寄せよう」とします。

専門的に言うと、以下の複合動作が必要です。

  1. 股関節の屈曲(太ももをお腹に近づける)
  2. 股関節の外旋(膝を外に開く)

しかし、股関節にトラブルを抱えている方の多くは、関節包が硬くなっていたり、骨の変形によってこの動きが物理的に制限されていることがあります。

それなのに、無理やり足を手元に引き寄せようとすると、不必要な力が入ってしまいかえって股関節を曲げづらくなることがあります。

つまり、「足を手元に持ってくる」という戦略自体が、靴下を履くときにはNG動作となります。


理学療法士が教える「楽に靴下を履く」ための3つの法則

痛みを避けるポイントは、「足を上げるのではなく、上半身から迎えに行く」ことです。具体的なポイントを3つご紹介します。

1. 「背中を丸める」を意識する(骨盤の後傾)

原因があって股関節が硬い人は、その分を「腰と背中」でカバーする必要があります。 椅子に座って履く際、背筋を伸ばしたまま足を上げようとしていませんか?これだと股関節が硬い人では足と手を近づけることができません。

  • 楽に履くコツ: はじめに、みぞおちを凹ませるようにして、背中全体を大きく丸めてください(骨盤を後ろに倒す動き)。 これだけで、股関節を深く曲げなくても、手が足先に届きやすくなります。

2. 「あぐら(4の字)」を無理に作らない

座った状態で靴下を履く場合、足を反対の膝の上に乗せて「4の字」を作る姿勢は、普通は靴下を履きやすい姿勢ですが、股関節には強い「ねじれ」の力がかかります。また、股関節をしっかりと開くことができない方ではこのような方法で靴下を履くことはできません。

  • 楽に履くコツ: 足を膝の上に乗せるのではなく、「低い踏み台(雑誌を重ねたものやお風呂の椅子など)」に足を乗せてみてください。 足の位置を低くし、膝を少し外に逃がす程度に留めることで、手が足元に届きやすくなります。関節内の圧力を逃がすことができます。

3. 手がどうしても届かない場合(奥の手)

これは動作以前のテクニックですが、意外と重要です。 椅子に腰掛けて、おしりを前の方に出しておきます。脚を可能な限り後ろに引いて股関節を曲げるのではなく体を後ろに傾けるようにして手を伸ばします。そのようにすることで手が足まで届きやすくなります。

※ただし、これは奥の手です。股関節を守るための動作としては実はあまりおすすめできるやり方ではないので、まずは専門家の手を借りることを頭に入れてください。

  • 楽に履くコツ: 手を近づける前に、あらかじめ手元で靴下をくるりと丸めておきます。(足を入れる口を広げておく)。 その状態で、足先だけを通します。踵(かかと)まで通ってしまえば、ゆっくり靴下を引き上げるだけです。

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それでも履けない場合は「脊柱」「股関節」の複合的な問題かも?

「上記の方法を試しても、やっぱり手が届かない」

その場合、問題は股関節だけでなく「背骨(脊柱・胸郭)の硬さ」もあるかもしれません。
本来、股関節の動きが悪ければ背骨が助けてくれるはずですが、背骨までガチガチに固まっていると、股関節の可動性の低下と合わせてどうやっても届かなくなるということが起こります。

フィジカルプラスでは、単に股関節を中心に施術を行うだけでなく、背骨をしっかりと曲げることができるかどうか?股関節だけでなく骨盤がスムーズにコントロールできているか?といった全身の連動性をチェックします。

「靴下が履きやすくなった」ということは、単に生活が楽になるだけでなく、「歩行時の股関節への負担も減っている」という重要なサインとも言えます。

もし、日々の着替えでストレスを感じているなら、一度ご自身の「身体の使い方のクセ」を見直してみませんか?

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理学療法士(Physical Therapist)。
病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。現在は「フィジカルプラス下関」代表として、痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元の中高生からプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同している。

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