腱板断裂後に保存療法を選択したら自宅で何をやるべきか理学療法士の立場から考えてみる

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
肩・首の痛み
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

\ 肩の痛み・肩こりでお困りの方へ /

下関のフィジカルプラスでは、慢性的な肩こり・四十肩・腱板断裂後の不調など、肩のお悩みに対して姿勢と動作を整える専門的なサポートを行っています。

腱板断裂は気づきにくいので、まずは医療機関で確認を

腱板断裂けんばんだんれつは外傷をきっかけに発症することが多いと言われています。

年齢とともに腱板自体に変性が起こり、肩を軽くぶつけた・ゴルフのスイングをしたなど、ちょっとした刺激で断裂を起こすこともあります。

中には思い当たるフシがないのに肩の痛みが続き、医療機関を受診してみたら断裂していたということもあります。

腱板断裂とは?

腱板とは、肩の関節の周囲に巻きつく4つの筋肉(棘上筋きょくじょうきん棘下筋きょくかきん肩甲下筋けんこうかきん小円筋しょうえんきん)の腱の部分を指します(一般的にローテーターカフと呼ばれます)。

これらの腱は主に肩関節の回旋運動に関わりますが、日常生活で意識する機会は少ないと思います。

腱板の断裂の有無を判断するには、エコー検査・MRI検査・肩の機能検査などを医療機関で受ける必要があります。

腱板が部分的に断裂している場合、多くの方は肩を動かせますが、手を上げる途中で痛みが出たり、力が入りにくかったりすることがあります。

痛みの特徴として、特に棘上筋などでは挙上の途中で痛みが出て、挙げ続けると痛みが軽くなることがあります。引っかかり感を訴える方もいます。

一方、五十肩などでは可動域の最後で痛みが強くなることが多いので、痛みが出るタイミングの違いを知っておくと整理しやすくなります。

肩に痛みがあり、「動かす途中が痛む」「力が入りにくい」など腱板断裂を疑うサインがある場合は、医療機関での確認をおすすめします。

医療機関を受診するときはどうするか?

現状がはっきりしないままマッサージなどを受け、痛みが強くなって眠れない状況に陥るケースも見られます。

まずは医療機関への受診を検討してください。

ただしMRI検査などは予約が必要なことが多いのが現実です。

総合病院などでは紹介状が必要な場合もあるため、時間に余裕がない場合は、最初からMRI検査を行える整形外科クリニックなどを選ぶのも一つの方法です。

肩の痛みがあると、つい整骨院や強い施術に頼りたくなりますが、理学療法士の立場としては、原因が特定できない段階では慎重に考えることをおすすめします。

フィジカルプラスでも、腱板断裂が疑われる場合は無理をせず、医療機関での確認をおすすめしています。そのうえで、断裂があるかもしれない前提で、安全性を優先しながらサポートを行います。

医療機関ではまず痛みのコントロール(薬や注射など)から始まることが多いです。

腱板周囲に炎症が生じて痛みが出ている場合、炎症と痛みを抑えることが基本になります。

腱板の断裂自体は自然に元へ戻らないことも多く、日常生活への支障や断裂の程度によっては手術が検討されることもあります。まずは医療機関で正確な診断を受け、状態を把握することが大切です。

強い夜間痛には注意しましょう

腱板断裂の症状は、肩を動かす際の痛みに加えて、夜間の肩の痛み(夜間痛)が出やすいことが特徴です。

断裂があっても他の筋肉が補助して、肩自体はある程度動かせる場合があります。

ただし、痛みを我慢して無理に動かし続けると、代償動作によって別の部位までつらくなることがあるため注意が必要です。

場合によっては、無理に動かそうとして痛みが強くなり、腕を動かせなくなることもあります。

痛みが少し落ち着いていても、正しい肩の動きを保ちにくいことがあり、結果として誤った動き方が運動学習されやすくなります。

一度クセがつくと戻すのに時間がかかることもあるため、可能であれば早めに運動療法(リハビリ)も含めて相談できる環境を整えることをおすすめします。

腱板断裂の運動療法について

腱板断裂がある場合(または疑われる場合)、運動のやり方によっては、かえって負担が増えてつらさが強くなることがあります。安易に自己流で行わず、できれば専門家の指導を受けるようにしましょう。
また、動かしていないのに痛む・熱感があるなど炎症が疑われるときは、薬物療法と組み合わせて進めることが一般的です。

医療機関でのリハビリとあわせて行うと変化を感じやすい運動を紹介します(痛みが強いときは無理をしないでください)。

痛みが強い場合は、まず腱板への刺激をできるだけ減らすため、肩甲骨の動きをやさしく出すことから始めます。その次に、肩甲骨と上腕骨の間の関節(回旋の動き)を少しずつ動かします。

難しいことではなく基本的な動きで大丈夫ですので、以下の動画と画像を参考にしてみてください。

①脇を締めて肩甲骨を上下に上げ下げします。できる限り手の力を抜き、挙げられる範囲で繰り返します。痛みが強く出るときは無理をしないようにします。

②脇を締めて肩甲骨を前後に動かします。ゆっくり行い、痛みが出ない範囲で繰り返します。大きく動けば良いですが、最初は小さな動きで大丈夫です。

③肩甲骨と上腕骨の間の関節に対して回旋の動きを出します。指さしている位置がしっかり動くように意識し、肘を伸ばしたまま前方へ30度、横へ30度開いた位置で行います。最初は痛みで動かしにくいことも多いですが、痛みなく動かせる範囲で構いません。少しずつ範囲を広げてみてください。

以上のような基本的な運動ですが、医療機関でのリハビリと併用することも検討してみてください。

医療機関によっては理学療法士がいない場合もあります。そのようなときに、ご自身で動かす際の参考になればと思い、比較的リスクの少ない運動に絞って紹介しました。

整形外科クリニックなどでは「痛みに注意しながら少しずつ動かしてください」と言われることもあります。どう進めればよいか分かりにくい場合など、下関近郊でしたらフィジカルプラスでも運動指導やサポートは可能です。

痛みを抱えたまま放置すると、知らず知らずのうちに肩の動かせる範囲が狭くなることがあります。無理のない範囲で、早めに対処していくことをおすすめします。

やってはいけない自己流トレーニング

腱板断裂の方に多い“つらさが強くなりやすいパターン”を避けるために、知っておきたいポイントです。

❌ 高負荷のダンベル外転

→ 腱板に負担が集中しやすく、状態によってはつらさが強くなることがあります。

❌ 重い物を持つ反復動作

→ 炎症が落ち着きにくく、夜間痛が気になりやすくなることがあります。

❌ 痛みを我慢してのストレッチ

→ かばう動きが身につきやすく、戻すのに時間がかかることがあります。

下関で専門的なサポートをご希望の方へ

フィジカルプラス下関では、完全予約制・マンツーマンで、あなたの姿勢・動作を細かくチェックしながらサポートいたします。
「今の状態を一度見てほしい」「手術前後の不安を相談したい」といったご相談だけでも大丈夫です。

※初めての方は、料金ページもあわせてご確認ください。

アクセス・営業時間

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理学療法士(Physical Therapist)。
病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。現在は「フィジカルプラス下関」代表として、痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元の中高生からプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同している。

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