辛い関節痛がみるみる変わる!理学療法士がすすめる結果の出るエクササイズ

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
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この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

膝が痛い・股関節が痛い・長く歩くと足がだるい…。そんな下半身の関節痛でお困りの方は、想像以上にたくさんおられます。

私自身、医療機関で理学療法士として約14年、その後フィジカルプラスで約7年間、下肢の関節痛に悩む方をみてきました。その中で強く感じるのは、「骨の並び(関節アライメント)」と「筋肉の働き方」に問題を抱えている方がとても多いということです。

治療法や手術の選択肢はいろいろありますが、その前にまずは「今の自分の足・膝・股関節がどんな状態なのか」を知ることが出発点になります。

ここでは、下肢の関節アライメントをやさしく解説しながら、ご自宅でも取り組みやすいエクササイズを紹介していきます。

下肢関節のアライメントとは?

「アライメント」とは、ざっくり言うと骨同士の並び方・向きのことです。足・膝・股関節・骨盤は、それぞれバラバラに動くのではなく、お互いに影響し合いながらバランスを取っています

足部(足首〜足の裏)のアライメント

足部の回内と回外

まずは一番下にある「足」から見ていきましょう。

足の動きには、図のような

  • 回内:土踏まずがつぶれて、内側に倒れ込むような動き
  • 回外:小指側に体重が乗り、外側に傾くような動き

があります。

関節痛のある方の多くは、回内・回外のどちらかに偏った状態が続いていることが少なくありません。特に、

  • 足裏の一部だけタコができている
  • 片側だけ靴底の減り方が極端に違う

といったサインがある場合は、足部のアライメントが崩れている可能性があります。

立っているとき・歩いているときによって状態は常に変化しますので、まずは「自分の足は回内寄りなのか、回外寄りなのか」を、鏡や足裏のタコの場所などをヒントに確認してみましょう。

膝関節のアライメント

足部の向きが変わると、その上にある膝の向きにも影響が出ます。

足部が回内しているとき

膝は内側に向きやすくなります。

足部が回外しているとき

膝は外側に向きやすくなります。

足部の動きと膝の向き

ここでいう向きの変化は、必ずしも「X脚・O脚」という見た目そのものとは別の話です。ただ、下肢の関節痛がある方では、こうした膝の向きのクセが日常的に続いてしまっていることがよくあります。

X脚のイメージ

一方向に偏った状態が続くと、膝の内側・外側のどちらか一方だけに負担が集中しやすくなり、関節にストレスが蓄積されていきます。

股関節と骨盤のアライメント

股関節の向きは、足部だけでなく骨盤の傾きにも大きく影響を受けます。

一般的には、

骨盤前傾と後傾

骨盤が前傾すると、股関節は内旋しやすくなり、

骨盤が後傾すると、股関節は外旋しやすくなります。

細かい名称を覚える必要はありませんが、足・膝・股関節・骨盤はすべてつながっており、一つの動きのクセが他の関節にも波及するというイメージだけ持っておいてもらえると良いと思います。

本来であれば、お互いがバランスを取り合うことで関節にかかる負担を分散してくれています。しかしそのバランスが崩れると、どこか一箇所に負担が集中し、ある日突然「膝が痛い」「股関節が痛い」といった形で症状として表に出てきます。

ここからは、こうしたアライメントを整え、関節の動きやすさを引き出すためのエクササイズをご紹介します。

関節アライメントを整えるためのエクササイズ

「整える」と言っても、骨の位置を無理やり変えるわけではありません。
関節の自由度を高め、筋肉の働き方をそろえてあげることで、結果として負担の少ないアライメントに近づけていくイメージです。

どのエクササイズも、

  • 痛みが出たら中止する
  • バランスに不安がある場合は、手すりや机につかまって行う

といった点を守りながら、安全第一で行ってください。

下肢の関節痛がある方の多くは、股関節周囲の深層筋(小さくて奥にある筋肉)がうまく働いていないことがほとんどです。まずはそこに軽い刺激を入れ、動きやすい状態を作っていきます。

股関節の深層筋

特に梨状筋などの筋肉は、骨盤の真ん中あたり(仙骨)から股関節にかけてついており、骨盤の傾きや反対側の股関節の動きにも影響しやすい重要な筋肉です。

股関節周囲のアライメントを整えるエクササイズ

① 椅子に浅めに座り、膝を外に軽く開きます。
 足の小指側の側面が床につくように、足の向きを調整します。

② そのまま、足の側面で床を「トントン」と切るようなイメージで、かかとをゆっくり上下に動かします。スピードの遅い「貧乏ゆすり」のようなイメージです。

・かかとはできる範囲で大きく上下に
・力みすぎず、ふわっとした力加減で

を意識して、1分程度を目安に行いましょう(疲れたら途中で休んでも大丈夫です)。

終わったら一度立ち上がり、その場で軽く足踏みをしてみてください。
運動をした側の足が、ほんの少し軽く感じられたら良いサインです。

③ 次に、本や雑誌など少し高さのあるものを床に置き、その上に①〜②を行った側の足を乗せます。

バランスが不安な方は、必ず壁やテーブルにつかまりながら行ってください。足首をひねらないようにも注意します。

④ その状態で、反対側の足を膝がおへその高さに近づくイメージで高く上げながら、足踏みをします。
ここでも、無理のない範囲でかまいません。

足踏みのイメージ

こちらも1分程度を目安に、疲れないペースで行いましょう。

関節痛のある方は、足の小指側に体重が乗りづらくなっていることが多く、その結果、股関節〜足首にかけてのアライメントが固定されやすい状態になっています。
このエクササイズでは、股関節と足部の連携を高めながら、荷重のかかり方を整えていくことをねらっています。

足部のアライメントを整えるエクササイズ

次は、足そのものを柔らかくする運動です。

ご自分の足の甲を見てみてください。関節痛のある方の中には、図のように甲の筋がくっきり浮き上がっている方がおられます。いわゆる「浮き指」の状態で、常に足の指を反らせるような力が入ってしまっています。

浮き指の例

足が硬い状態だと、関節のアライメントが固定されやすく、特定の部分にだけ負担が集中してしまいます。そのため、まずは足指まわりを柔らかくしておくことが大切です。

① 座った姿勢で、図のように足の指を根元からしっかり曲げる練習をします。手を使ってもかまいません。

足指エクササイズ

② 片足につきおおよそ30回を目安に、ゆっくり曲げ伸ばしを繰り返します。

終わったら、もう一度立って足踏みをしてみてください。
エクササイズ前と比べて、足裏の接地感が少し柔らかくなっていればOKです。

膝のアライメントを意識したエクササイズ

膝は、足部と股関節の「真ん中」に位置するため、どちらの影響も受けやすい関節です。ここでは、膝のお皿とつま先の向きをそろえるイメージで動かしていきます。

足部が回外傾向の方

椅子に座り、膝下を外側に向けるように軽く力を入れて30秒キープします。

膝のエクササイズ(回外傾向)

足部が回内傾向の方

同じく椅子に座り、膝下を内側に向けるように力を入れて30秒キープします。

膝のエクササイズ(回内傾向)

共通の膝エクササイズ

① 立ち上がり、膝のお皿とつま先の向きがそろうように足を置きます。
その状態で、浅めのスクワットのように膝を軽く曲げ伸ばしします。

膝の曲げ伸ばし

深くしゃがみ込む必要はありません。
伸ばすときに、膝がグッと前に出すぎないように注意しながら行ってください。

② 次に、膝をできるだけ伸ばした状態で、かかとの上げ下げを繰り返します。バランスが不安な方は、必ず手すりやテーブルにつかまりましょう。

かかとの上げ下げ

膝のお皿とつま先の向きをそろえたまま動かすことで、膝の前後左右の筋肉がバランス良く働きやすくなり、無理のない動き方を身につけやすくなります

まとめ

ここまで、下肢の関節アライメントと、それを意識したエクササイズについてご紹介しました。

実際にやってみると、エクササイズ前後で足の軽さや接地感が変わるのを感じる方も多いと思います。これは、筋肉や関節が少しずつ「本来の動き方」を思い出し始めているサインです。

電気治療やマッサージなども有効な方法ですが、ご自身の体が本来持っている機能を引き出していくことも、関節の負担を減らしていくうえでとても重要です。

ポイントは、

  • 無理をしない(痛みが出たら中止する)
  • 「たくさんやれば早く良くなる」と思い込みすぎない
  • 小さな変化を積み重ねるつもりで、コツコツ続ける

という3つです。

ご紹介した内容は、実際にフィジカルプラスでも用いているエクササイズの一部を、ご家庭向けに調整したものです。
やり方が不安な場合や、行っても痛みが強くなる場合は、そのまま続けずに一度ご相談ください。

下関近郊で、膝・股関節などの関節痛にお困りの方は、
コンディショニングコースにて、個別の状態に合わせた運動指導も行っています。