練習が変わる時期に出やすい痛みに注意!
2月も中旬になり、そろそろ卒業シーズンが近づいてきました。進学が決まった子どもさんの中には、新しい学校やクラブの練習に少しずつ参加し始めている方も多いのではないでしょうか。
この「練習内容がガラッと変わる時期」は、毎年のように同じような痛みや不調が出やすいタイミングでもあります。特に、進学後にスポーツを本格的に続けていきたいと考えている方にとっては、早めにカラダのケア習慣を身につけておくことがとても大切です。
多くの場合、練習量が一気に増えたり、メニューの負荷が高くなることで痛みが出てきますが、日々の練習後にきちんとケアを行うことで、負担を減らしやすくなります。ここでは、この時期によく見られるスポーツ障害と、そのケアの考え方を簡単にご紹介します。
この時期によく出るスポーツの痛み
シンスプリント(すねの内側の痛み)
特に4〜5月頃、練習量が一気に増えるタイミングで起こりやすい印象があります。
「すねの内側が痛くて歩きにくい・走りにくい」という訴えが多く、多くの医療機関では「シンスプリント」と説明されることが多いと思います。
オフシーズンや受験などで運動量が減っていたところに、急に走る量やダッシュ・ステップワークが増えると出やすく、陸上・サッカー・バスケットボールなど「走る時間が長い競技」に多く見られます。医療機関では「しばらく休みましょう」と言われることが多いのですが、練習を再開するとまた痛みがぶり返してしまう…という悩みもよく聞かれます。
原因は一人ひとり違いますが、私の経験上、土踏まずがつぶれやすい(扁平足傾向がある)お子さんには特に起こりやすい印象があります。
シンスプリントのケアのポイント
一般的には、アイシングによる炎症のコントロールや、足首・足指の動きを整えるためのストレッチやトレーニングがよく紹介されています。
通常のケアについては他でもたくさん紹介されていますので、ここでは理学療法士の立場から、少し違った視点も含めてお話しします。
意外に思われるかもしれませんが、上半身のケアを行うことで、すねの痛みが軽く感じられるケースもあります。
僧帽筋をほぐすと、すねの痛みが軽く感じられることも
あくまで私の臨床経験によるものですが、シンスプリントと説明されている子どもさんの多くに、僧帽筋(首〜肩まわりの大きな筋肉)の強いこりが見られることがあります。
僧帽筋というと、いわゆる「肩こり」でよく揉まれる首〜肩の部分をイメージされると思いますが、ここで注目したいのは鎖骨の外側付近から腕の付け根にかけて、後ろ側にある付着部です。まずは指で押さえてみて、「少し痛いけれど気持ちいい」と感じるポイントを探してみてください。
この部分はいわゆる腱に近い組織で、ここをゆっくりとほぐしていくと、僧帽筋全体の緊張が少し抜けやすくなります。
試していただくときは、まずシンスプリントで痛みが出ている側の足で片足ジャンプをして痛みの具合を確認し、そのあとで僧帽筋の付着部をほぐし、再度ジャンプして変化を比べてみてください。全員に当てはまるわけではありませんが、「さっきより少し楽かも」と感じられる方もいます。
これは「運動連鎖」と呼ばれる、カラダの動きのつながりを利用した考え方です。とてもシンプルな方法ですが、通常のケアであまり変化を感じにくかった場合の一つのヒントになるかもしれません。
いずれにしても、基本には「使い過ぎによる負担」がありますので、まずは医療機関を受診し、医師の指示に従いながら無理のない範囲で取り入れてみてください。
骨端症(成長期に多い膝・かかとの痛み)
陸上競技やバスケットボール、サッカーなど、走る・ジャンプする動きが多いスポーツでは、いわゆる「成長痛」と呼ばれる痛みもよく見られます。実際には、成長期の骨がまだ柔らかい時期に、同じ場所に負担が集中しやすいことが関係していると考えられています。
代表的な症状としては、次のようなものがあります。
● 膝のお皿の下あたりの痛み
カラダが比較的硬く、太ももの前の筋肉を強く使いやすいタイプのお子さんに多い印象があります。「オスグッド・シュラッター病」と説明されることが多いケースです。
● かかとの痛み
つま先立ちやジャンプで足首を強く使いやすいタイプのお子さんに多く、アキレス腱まわりが張っていることがよくあります。「踵骨骨端症」などが典型的です。
オスグッド・シュラッター病のケアの考え方
多くの場合、太ももの前側の筋肉がとても硬く張っていることが多く、「ストレッチをしてもなかなか柔らかくならない」と感じている方も多いと思います。
私が大事だと考えているのは、まずお尻(大殿筋)まわりをしっかりとストレッチしておくことです。ここが少し緩むだけでも、太ももの前側は柔らかくなりやすくなります。
大殿筋のストレッチ方法は、さまざまなサイトや書籍で紹介されていますので、そちらも参考にしてみてください。
また、多くの方に共通しているのが、「股関節の動きが十分に使えておらず、膝に負担が集中している」という状態です。このような場合は、両手を膝に添えてパワーポジションをとり、そのまま手を膝につけたまま、膝を伸ばすようにしていきます。
膝を伸ばすときには、頭をやや下に向けるようにすると、股関節まわりが使われやすくなります。
このような動きを繰り返すことで、膝の前側に集中しがちな負担を、股関節やお尻まわりにも分散しやすくなります。少しずつ続けていくと、「以前より膝の前の張り感が気になりにくくなった」と感じられる方もいます。
回数の目安としては、まずは10回くらいから始めて、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。ただし、膝そのものが強く痛むときは、無理をせず医療機関での相談を優先してください。
踵骨骨端症のケアの考え方
かかとの骨は足裏の組織ともつながっているため、まずは足裏を丁寧にほぐしていくことが大切です。
つま先をしっかり下に向けると足首に痛みが出る方も多いので、最初は無理のない範囲で、つま先を下方向に動かす練習から始めます。これだけでも、足裏が少しほぐれてくるのを感じる方もいます。
そのうえで、ゴルフボールなどを使って足裏全体をコロコロと転がし、やさしくマッサージしていきます。
このようなケアのあとにアキレス腱のストレッチを行うと、かかとまわりにかかる負担が軽くなり、痛みが和らぎやすくなることがあります。
成長期に大切なのは「無理をしない」こと
ここまでいくつかケアのヒントを挙げてきましたが、根本にあるのはどれも「同じ場所に負担がかかりすぎている」ということです。
成長期の骨はまだ柔らかく、無理を続けることで、将来にわたって痛みを抱えやすくなる可能性もゼロではありません。
「試合に出たい」「チームの役に立ちたい」という気持ちから、痛みを我慢してしまう子どもさんも多く、その真面目さゆえにカラダに負担がたまりやすいのが気になるところです。
スポーツをしているお子さんをお持ちの保護者の方は、ぜひ毎日一言でも良いので、お子さんのコンディションについて確認してみてください。
怪我や強い痛みを抱えたままでは、本来の力を出し切ることは難しくなります。
フィジカルプラスでは、国体山口県チーム帯同や、各種スポーツの全国レベルの指導に関わってきた経験を活かし、成長期のお子さんのスポーツの痛みやコンディションのご相談をお受けしています。
スポーツ中の痛みや、なんとなく動きにくい・疲れやすいといったお悩みがありましたら、スポーツコンディショニングのページも参考になさってください。
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