足の裏が柔らかくなるだけで膝にかかる負担は減ります
変形性膝関節症を抱える方々は、日常生活での痛みを軽減させる方法を模索し、さまざまなアプローチを試みていることが一般的です。
一般的に、痛みを感じる箇所に焦点を当てがちですが、膝は股関節と足首の中間に位置しているため、痛みに対する効果的な対処法として、膝に直接的にアプローチするのではなく、他の部位にも注意を払うことが重要です。
特に膝は股関節や足関節、足部など周囲からの影響を受けやすい関節と言えます。
理学療法士として長年にわたる経験から言えるのは、膝の痛みを抱える多くの方々が、足の裏に特定の問題を抱えているということです。
足の裏の特定の部位が硬くなり、正常な動きが制約されていることがあります。
言い換えれば、硬くなった部位を適切に活用できず、痛みを引き起こす動作を無理にしていることがあるということです。
足の裏は本来、高い柔軟性を備えています。
この柔軟性により、膝や股関節などで様々な衝撃や動きに適応し、その変化に対応できるのです。
しかし、この柔軟性が失われることで、特に足部の動きの自由度が制約され、結果として膝への負担が増加する可能性があります。
そのため、今回は、どなたでも簡単に行える足の裏の柔軟性を高めるための足踏み運動を紹介いたします。
足踏み運動で用意するもの
フィジカルプラスでも使用していますが、某百円均一で販売しているある健康足踏器(玉石タイプ)もしくは少し厚みのある本を準備します。
健康足踏器を利用する場合
以下の3つを各1分ずつ行って下さい。痛む方が多いので無理をしないようにしますが、多少痛くても後から痛むことはほとんどありませんので、本当は少し我慢して欲しいところです。
・まずは普通に両足で踏みます
・次にその場で足踏みしながらゆっくりと回るようにします。
(左右どちら周りもやって下さい)
・つま先だけを乗せて踏みます。あまり痛みがなければ、かかとを浮かせて踏むと良いでしょう。
厚みのある本を利用する場合
以下の3つを1分ずつ行って下さい
・つま先を乗せるようにして足踏みをする
・足の小指と薬指のあたりだけ乗せて足踏みをする
・かかとだけを載せるようにして足踏みをする
足裏の様々な部分に体重をまんべんなくかけていくというイメージで繰り返し行いましょう。
土踏まずの部分は元々体重が直接掛かる場所ではないので刺激を入れないようにすると良いでしょう。
まとめ
足の裏には非常に多くの関節が存在し、本来はさまざまな地形に適応して自由に動くことができる部位です。
しかし、現代の都市生活を送る人々は舗装された道路を歩くことが多く、その結果、足の裏の可動性が低下し、筋力などの機能が低下していることが一般的です。
この低下した機能により、特定の部位に負荷がかかることによって膝、股関節、場合によっては腰などの動きにも不均衡が生じ、常に同じ部位に持続的なストレスがかかることになります。
今回紹介した方法は、くせによって偏った使い方をしている自身の足の使用パターンを改善し、通常の歩行スタイルに変化をもたらすことで変形性膝関節症の痛みを軽減する手段になります。
この方法を実行する際のポイントとして、上記で述べた踏み方以外にも、可能な限りさまざまな部位を使って足踏みをすることが重要です。
しかし、注意しなければならないのは土踏まずで踏むことです。
繰り返しになりますが土踏まずは本来、足の裏に負担をかける部位ではなく、高血圧の人々にとって急激な血圧上昇を引き起こす可能性もあるため、足踏み運動時は特に注意が必要です。
はじめのうちは足裏が硬く、当たるところに痛みが生じることがあるかもしれませんが、焦らずにゆっくり時間をかけて実施することをお勧めします。
これだけで全ての問題が解決するわけではありませんが、適切に行えば多くの人々の痛みが緩和されることがあります。ぜひ試してみてください!