11月23日(土)、24日(日)はお休みします。

股関節術後にリハビリを頑張ったのにバランスが崩れてうまく歩けない場合

股関節痛の歩行

股関節の術後では下肢の筋バランスが崩れることに注意しましょう

股関節の手術(THA)後、一生懸命リハビリを頑張ったけれども、思うように歩けないと感じている方に特に読んでいただきたいと思います。

簡単ですが、対処法も述べていますので、最後までご覧ください。

股関節の術後は術前の歩行の癖などが残っており、過剰な筋緊張などによりバランスが崩れ、痛みが誘発されやすく、正しい使い方ができなくなる原因となる筋肉はおおよそ決まっています。

具体的には、股関節の手術後、未手術の場合も含め、歩行時に主に下肢を振り出す腸腰筋(股関節を曲げる筋肉)と足関節底屈(つま先を下に向ける筋肉であり、膝を曲げる筋肉でもある下腿三頭筋)の筋緊張の異常が原因でうまく歩けないという現象が起こります。

特に股関節の手術後では、筋肉の収縮と弛緩のタイミングの乱れが顕著に現れやすくなりますので歩くことばかりに気を取られず、あるきかたに注意を向けていくことが大切です。

ふくらはぎの使いすぎ

特に、腸腰筋の機能の低下が残ると歩けることは歩けるけれど、体をきちんと伸ばして歩くことができずに不格好な歩き方になったり、歩行距離が思うようには伸びていかなかったりします。

その他にも膝や足首、腰など他の部位に痛みが出てきたりして、退院はしたものの、術後に思い描いていた日常生活とは程遠い状態となってしまうことが多々ありますので、様々な部分に注意が必要なのは言うまでもありません。

骨盤と股関節

歩けると言うことを重視してしまいがちな病院でのリハビリ訓練

近年では股関節術後のリハビリはクリティカルパスなどの利用で早期の退院を目指すことが多く、ほとんどの方に対してまずは「歩ける」ということを考えることを中心にリハビリを進めていくことが多いようです。

さらに、早く自宅へ退院したい気持ちや、術後の御本人の早く歩けるようになりたいという気持ちが強くなり、余計に足部での蹴り出しをつよく意識してしまうことで本来の歩き方とはかけ離れた様式での歩行を続けてしまう方が多くおられるのは非常に残念です。

このような歩き方では筋肉のバランスが崩れてしまうのは当然なのです。

本来であればしっかりと機能面を考えて歩行指導することが大切です。

早期退院するとしても後々痛みや歩行における心配事が出てこないように歩行の際の余計な癖をできる限り軽減することが大切だと私自身は考えています。

しかしながら、現状はそうならない方が多いため手術をしたのにうまく歩けないと悩んでしまう方が出てきてしまうのです。

股関節の問題で筋肉のバランスが悪いとどうなる?

腸腰筋の筋活動の低下が目立つ場合

術前の歩行様式や手術をしたことによって腸腰筋の筋活動が低下している場合、下肢を降り出すために足関節底屈筋で代償する(ふくらはぎの筋肉になります)事があります。

特に股関節術後などでは筋肉に対してメスが入ったこともあり、股関節周囲の筋肉は出力が落ち初めから適切に使う事は難しくなります。

とにかく歩くということを頑張りすぎて、ふくらはぎの筋肉を使いすぎるような歩行様式を継続していると本来使うべき腸腰筋筋力の回復が遅れ歩行能力が思うように向上していきません。

また、股関節の術後にこのような歩行様式を取っている場合、足部(つま先)の動きに硬さが見られることが多く、以下の画像のように下肢を降り出す際につま先が上がったままの独特の振り出し様式となるので理学療法士であれば数メートルの歩行分析をするだけで簡単に問題となっている部分を発見することが出来ます。

多くは膝が少し曲がった状態で固定された棒のようになったり、曲がり方が少なかったりするため非常に不格好に見えるため誰が見てもなんかおかしいと感じるでしょう。

股関節の運動

力が必要なタイミングで力が入るように筋肉のバランスを考えることが近道になります

股関節の術後に頑張りすぎて足を後ろに蹴りだすことに意識を集中し過ぎると、足関節底屈筋の筋活動はより過剰になり、代償動作を強化して、かえって歩行様式を上の画像のような格好の悪い非効率的な状態にしてしまいます。

このようなおかしな歩行様式が更にひどくなると膝を軽く曲げた状態から膝を曲げることができず、それによって、つま先までうまく上げる事が出来なくなり、つま先が引っかかったりして転けそうになる方も多数おり大変危険です。

股関節を始めとした下肢の筋バランスは前述のようにちょっとしたことで変化しやすく、一度バランスが崩れた状態が身につくと変えることに大変な労力を必要とするため注意が必要です。

実際に病院時代にこのような歩行様式で見た目の悪い方も見てきました。

個人的には年齢が若くてなんとなくでもすぐに歩行ができるようなときに起こりやすいようなイメージがあります。歩けるということは大切ですが、歩きかたに注意を向けていくことを重視して行くことをおすすめします。

しかし、年令に関係なく、股関節の術後では特に腸腰筋自体を意識することは実際には難しく、ここではやはり専門家の力が必要になってきます。

とはいっても、実際にリハビリの現場ではリハビリの専門家しかいないはずなのですが、多くの術後すぐのリハビリを受け持つ総合病院ではなかなかそこまで行き渡らないのも現実かと思います。

膝をしっかりと伸ばしたり曲げたりするエクササイズをやってみよう

これまで挙げてきたような歩行様式にならないようにするためには自分自身でしっかりと膝の曲げ伸ばしが出来るようにすることです。

膝の関節は自分自身では伸びていると思っていても実際には少し曲がっていることがあります。

また、このような状態のときは膝自体をしっかりと曲げることもうまく行えていない事が多くあります。

はじめのうちは、椅子に腰掛けて体重をかけずに膝の曲げ伸ばしを行い、慣れてきたら下の図のように足を地面にしっかりと付け踵が浮かないように膝の曲げ伸ばしを繰り返して行うようにします。

膝は画像ほどしっかり曲げる必要はありませんが、伸ばすことに意識を向けて行うようにしましょう。

とにかくしっかりと伸ばし切ることを心がけてください。

荷重をする際はじめのうちはしっかり伸びなくても良いので膝を伸ばす方を意識して行うようにしましょう。

スクワット

簡単なエクササイズはこちらをどうぞ

このエクササイズを継続していくと股関節への荷重時の感覚も取り戻しやすくなり、緊張しやすい下腿の筋肉のコンディションも向上していきやすくなります。

まとめ

何らかの事情で下肢の手術を行った場合、誤った身体イメージを持ってしまいます。

下肢の術後の歩行練習の際には早い回復を目指すあまり、本来必要な筋活動を得る前に必要以上に頑張りすぎてしまいます。

特に年代の若い人は注意が必要です、頑張りすぎて帰って歩行状態を悪化させてしまう方をたくさん見てきました。

一度ついた歩行の癖を取り除くのは非常に困難ですので、歩き方がおかしいと自分で感じたら少しでも早いうちに修正できるように理学療法士などの動作の専門家に相談されてください。

フィジカルプラスでは術後のリハビリがうまく行かず歩けないなどでお困りの方のお手伝いを行っています。

興味のある方はコンディショニングコースもしくは自費リハビリコースで承ります。

記事執筆者
木村柄珠

理学療法士 Physical Therapist
病院勤務時にのべ4万人以上のリハビリを経験。現在フィジカルプラス下関の代表として、痛みに対するコンディショニング、ボディケアを行う。また地元下関の中高生からプロアスリートまでコンディショニング、トレーニング指導、トリートメントも行ってます。山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポに帯同。

Heiju Kimuraをフォローする
どんな小さな悩みでもOK!
痛みや不調を解消し、快適な毎日へ。今すぐ予約はこちら!

お客様から高い評価を頂いている動作の概念を取り入れた施術であなたのカラダの不調をしっかりサポートします。悩むのをやめてまずは行動しましょう!痛みや不調を解消し、快適な毎日へ。今すぐお問い合わせを!

股関節痛の歩行