肩甲骨が動かないと肩こり?──「順番が逆」になっていることもあります
「肩甲骨を動かさないとダメな気がする…」と感じている方は多いと思います。
ただ実際は、肩甲骨が動きにくいから肩こりというより、肩や首がこわばっている結果として肩甲骨が動きにくくなっているケースも少なくありません。
つまり、肩甲骨だけを頑張って動かす前に、「なぜ動きにくくなっているのか」を整理しておくと、遠回りしにくくなります。
背骨の硬さが、肩甲骨の動きを“止めやすくする”
肩甲骨は、背骨と肋骨でつくられる胸郭(きょうかく)の上を「すべる」ように動きます。
そのため、筋肉だけでなく、背骨の伸びやねじれ(動きの余裕)が小さくなると、肩甲骨も動きにくくなりやすいです。
まずは次の「猫背チェック」をして、肩甲骨が動きにくくなる入り口をつかみましょう。
猫背が続くと、肩甲骨が動きにくくなり腕も上げづらく感じやすい
年齢に関係なく、猫背気味で胸を張りにくい方は、肩甲骨の動きが小さくなりやすい傾向があります。
下の画像を参考に、背中を丸めたとき/背中を伸ばしたときでバンザイをして比べてみてください。

実際にやってみると、背中を丸めたほうがバンザイがしづらく感じる方も多いはずです。
背骨の状態によって、肩甲骨の動きやすさも変わる──この感覚を知っておくのが大切です。
猫背で肩甲骨の動きが小さくなると、腕を上げるときに必要以上に力が入りやすく、結果として肩が重だるく感じやすくなります(感じ方には個人差があります)。
猫背だと「肩甲骨を背骨に寄せる」動きも出しにくくなる
背中が丸いままだと、肩甲骨は背骨に近づきにくく、胸を張る動きも出しにくくなります。

胸を張れると背中が伸び、肩甲骨を背骨に近づける動きが出しやすくなります。
ここまでで、「猫背=肩甲骨が動きにくい状態をつくりやすい」ことがイメージできたと思います。
さらに、肩甲骨は筋膜や下半身(股関節・足)の影響でも動きにくくなることがあります。次はそのチェック方法です。
肩甲骨の動きが「筋膜・下半身」の影響を受けているかのチェック方法
ここからは、家でもできるチェックを2つ紹介します。痛みが強い方、しびれ・めまいがある方は無理をせず、医療機関や専門家にご相談ください。
チェック方法その1:横向きで「胸を開く」

横向きに寝て、両膝を軽く曲げます(枕を利用しましょう)。
骨盤を大きく動かさないようにしながら、胸を開くイメージで肩を後ろへ引いていきます。
・このとき背中が一緒にねじれるのはOKです。
・肩甲骨がベッド(床)に近づけば良好。
・肘が付けば大人なら標準的。肘も付かない場合は硬さが強い目安です。
うまくできない場合は、体の前側(胸・肋骨まわりなど)の硬さが動きを邪魔している可能性があります。痛みのない範囲で、少しずつ動きをくり返すだけでも変化が出やすいことがあります。
チェック方法その2:あぐらで「腕が上がるか」

あぐらで座り、肘を伸ばしたままバンザイします。腕が耳の横まで上がるか確認してみてください。
立った状態に比べて腕が上がりにくい・途中で引っかかる感じが強い場合、肩甲骨の動きが股関節や太もも、体幹の硬さなどの影響を受けている可能性もあります。
つまり、肩まわりだけでなく「下半身からの影響」で肩が重だるくなる方もいる、ということです。
このチェックが難しい場合は、下半身のストレッチや座り姿勢の見直しを組み合わせると変化が出やすいことがあります。
肩甲骨を「動かしやすくする」エクササイズ(無理のない範囲で)
チェックで動きにくさを感じた方は、まずは“強く伸ばす”より、回数をこなして動きを思い出すイメージでやってみてください。左右で比べてみるのもおすすめです。
ポイントは、背中を丸めすぎないこと。呼吸を止めず、痛みのない範囲で行いましょう。

画像のように、両肘をついた四つ這いを取ります。
あとは水泳のクロールのように、肩をやさしく回します。
(目安:30〜50回。少ない回数からでもOK)
コツは、回すたびに腕全体を頭の方向へスッと伸ばすこと。背中まわりの小さな筋肉が使いやすくなり、肩甲骨の動きも出やすくなります。
肩甲骨が動きやすくなると、背中が伸びやすくなり、結果として肩の重さが和らぎやすい方もいます(個人差があります)。
まとめ:肩甲骨だけでなく「背骨・姿勢・下半身」までセットで見る
肩甲骨の動きは、肩まわりだけの問題ではなく、背骨(胸郭)や猫背、下半身の硬さの影響を受けることがあります。
- 猫背が続くと、肩甲骨は動きにくくなりやすい
- 胸を開く動きが出ないと、肩甲骨も止まりやすい
- 下半身・体幹の影響で、腕が上がりにくく感じる方もいる
「動かそうとしても上手くいかない」「やるほど張る」などがある場合は、無理をせず、体の状態に合った方法を一緒に整理していくのがおすすめです。
肩こり・首こりが続く方へ|いまの状態を一緒に整理しませんか
肩甲骨だけを頑張るより、姿勢・背骨の動き・下半身の硬さまで含めて「どこが邪魔しているか」を整理すると、取り組みやすくなることがあります。無理のない範囲で一緒に方向性を整えます。
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※状態や感じ方には個人差があります。医療機関での検査・診断・治療に代わるものではありません。
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