杖と減量を勧められたときに知っておきたいこと
変形性股関節症と伝えられると、多くの場合「杖を使いましょう」「少し体重を落としましょう」といった説明を受けることがあると思います。
杖や体重管理は、股関節にかかる負担を和らげるうえで確かに大切な要素です。
一方で、その使い方や考え方を誤ると、必要以上に筋力が落ちてしまったり、股関節の可動性(動かせる範囲)が小さくなってしまうこともあります。
ここでは、杖や減量だけにとらわれすぎず、「筋肉」と「関節の動き」にも目を向けながら、股関節と付き合っていくための考え方を整理していきます。
まずは「筋肉」と「関節可動域」に目を向ける
変形性股関節症と診断され、手術までは必要ないと言われた段階では、
杖や減量のことよりも先に、関節の動く範囲が急に狭くなっていないか、股関節まわりの筋力やバランスが保てているかを確認することが大切です。
股関節の周囲は、骨だけでなく多くの筋肉が支えています。
「痛いから動かさない」状態が続くと、筋肉がこわばったり弱くなり、結果として負担が増えてしまうこともあります。
痛みの程度を確認しながら、無理のない範囲で動かす習慣を途切れさせないことを意識してみてください。
そのうえで、股関節まわりの筋力や動きを整えていくことが、長い目で見ると大きなポイントになってきます。
痛みを恐れすぎて「かばい続ける」デメリット
痛みが強いときには、杖をついて股関節を守ることも必要です。
しかし、「とにかく痛みを出さないように」と意識しすぎるあまり、常に体重を杖側に逃がしてしまうと、
- 股関節まわりの筋肉をほとんど使わなくなる
- 杖を持つ腕や肩に負担が集中する
- 本来必要な動きが出なくなり、可動域がさらに狭くなる
といった、別の困りごとにつながることも少なくありません。
「痛みをゼロにすること」だけを目的にするのではなく、股関節にかける負担と、からだ全体の動き方とのバランスを一緒に考えていくことが大切です。
減量についての考え方
体重が重いほど股関節への負担が増えるのは事実ですが、
よほどの肥満でない限り、「体重さえ減らせば良くなる」と考えすぎる必要はありません。
むしろ、体重だけに意識が向いてしまうと、食事制限ばかりが先行し、活動量が減って筋力低下につながることもあります。
変形性股関節症の方にとっては、
- 普段の立ち方・座り方
- 歩くときの重心の置き方
- 股関節をどのくらい動かして生活しているか
といった日常の姿勢や動作のくせを見直すほうが、結果として股関節の負担を減らしやすい場合も多くあります。
「人の話は当てはまらない」ことも多い股関節の痛み
股関節の痛み方や状態は、人によって本当に様々です。
体重が軽くても強い痛みがある方もいれば、体重が重く、変形が進んでいても痛みが少ない方もいます。
同じ「変形性股関節症」という名前でも、
- 痛みが出る場所
- 痛みが出るタイミング
- 動かしたときの感覚
といった部分は一人ひとり違います。
そのため、誰かの成功談をそのまま真似するような筋トレや運動でうまくいくことは、残念ながら多くありません。
たとえば、「筋力を落とさないようにプールで歩くと良い」と言われることもありますが、
実際には、状態によっては大きな変化を感じにくかったり、かえって疲れやすさにつながる場合もあります。
長い年月をかけて独特の歩き方になっている方ほど、脚の長さの感覚や姿勢のくせが残りやすい印象があります。
「左右で足の伸び方が違う」「体が横に揺れやすい」といった感覚が続く場合は、からだが特有のパターンを覚えてしまっている可能性があります。
周囲の方の経験談は参考にはなりますが、まずは専門家の評価や意見を聞いてみることをおすすめします。
「利用しようか迷う」という方は、
施術前に動きや状況を整理することもできます。
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杖を使うときに確認したいポイント
初期の段階で、整形外科やリハビリの場面で「杖を使いましょう」と指導を受けることがあります。
一般的には、次のようなT字杖を使う方が多いと思いますが、
実際の現場では、
- 杖の高さが合っていない
- 持ち方が不安定
- どの位置につくかがあいまい
といった状態のまま使っている方も少なくありません。
正しく使えれば、杖は股関節を守るための心強い道具になります。一度、ご自身の杖の使い方を見直してみましょう。
杖の高さの目安
教科書的には「肘を約30度曲げたときの高さ」「大転子(股関節の横あたり)の高さ」と説明されることが多いですが、
実際に測るのはなかなか難しいものです。
簡単な目安としては、まっすぐ立ったときの「腕時計をつける位置」あたりにグリップが来る長さに合わせてみてください。
背中が丸くなりやすい年齢層の方では、教科書どおりの高さだとやや長すぎることもあるため、実際の姿勢を見ながら微調整することが大切です。
股関節の痛みは「ただ揉む」だけでは解決しないことが多く、ご自身の「動きのクセ」を見つけることが大切です。
もし山口県下関市近郊にお住まいであれば、フィジカルプラスの股関節の動作分析・整体にて、今のあなたの歩き方を詳しくチェックできます。
よくある「杖の間違った持ち方」

人差し指の先までしっかり握り込んでしまうと、手首が不安定になり、必要以上に力が入りやすくなります。
その結果、腕や肩の疲れや痛みにつながりやすくなります。

中指までグリップの前側を握り込んでしまう持ち方も、高齢の方に多く見られます。
これは杖に頼りすぎている状態で、こちらも腕や肩に負担が集中しやすくなります。

親指の付け根が、グリップのくぼみよりも後ろにある持ち方も、杖に体重をあずけすぎているときに見られます。
正しい杖の持ち方

親指の付け根を、グリップのくぼみに軽く乗せるように置き、人差し指は添える程度にします。
場合によっては、人差し指を少し前に沿わせるようにしても構いません。
こうすることで、必要以上に握りしめることなく、ちょうど良い力加減で杖を使うことができます。
すでに杖を使っている方は、一度ご自身の持ち方を確認してみてください。
杖をつく位置の目安

目安としては、つま先の前方15cm・横15cm程度の位置に杖先が来るように意識してみてください。
後ろ側につきすぎると、杖に体重を預けすぎてしまい、からだのバランスが崩れやすくなります。
あくまで目安ではありますが、「少し前・少し外側」を意識することで、
股関節まわりにかかる負担を分散させやすくなります。
股関節の痛みと杖・減量をどう付き合っていくか
ここまで、杖や減量についての考え方と、基本的な杖の使い方について簡単に整理してきました。
実際には、このほかにも「どちら側の手でつくか」「どのタイミングでつくか」など、個別に確認したいポイントがいくつもあります。
大切なのは、痛みを恐れるあまり、必要以上に体をかばい続けないことです。
股関節を守るために杖を使いつつも、からだ全体の動き方や筋力を保てるようにしていくことが、長く歩き続けるための土台になります。
「今の使い方で良いのか分からない」「自分に合った方法を知りたい」と感じたら、
一人で悩まず、専門家に相談してみてください。
ご不明な点があれば、メール等でのご相談も構いません。
ご自身の股関節の状態を一度整理してみることが、次の一歩につながります。
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