臼蓋形成不全で手術を勧められたときの「判断の整理」|主治医に聞くこと・準備すること

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
股関節の痛み・臼蓋形成不全
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

臼蓋形成不全で「手術も検討しましょう」と言われたときに、判断を急がないための整理ポイント

この記事は、臼蓋形成不全と伝えられ、「手術も検討しましょう」と言われた“あと”に、判断材料を落ち着いて整えるための整理メモです。

股関節の痛みや歩きづらさをきっかけに整形外科を受診し、診察や画像検査のあとで、

「臼蓋形成不全があります。将来的には手術も視野に入ります」

と伝えられると、多くの方が頭の中が真っ白になるような感覚を経験されます。

「今すぐ決めなければいけないのだろうか?」
「このまま様子を見ていても大丈夫なのか?」

不安でいっぱいになり、夜遅くまで情報を探したり、いくつもの施設を回ってしまうことも珍しくありません。

この記事では、“手術を勧められたあと”にこそ整理しておきたい視点をまとめました。
結論を急ぐのではなく、判断材料をそろえて落ち着いて考えるための「心のメモ」として使っていただければ幸いです。

迷いが強い時期こそ、「今の状態」をいっしょに整理しませんか

「どの動きで一番つらいのか」「手術の話が出た理由は何だったのか」など、 情報が散らばった状態のまま考え続けると、気持ちが消耗しやすくなります。 無理のない範囲で、整理の優先順位を一緒に整えます。

初めての方は 料金案内 もご確認ください。
※状態や感じ方には個人差があります。医療機関での検査・診断・治療に代わるものではありません。


✅ STEP1:「手術を勧める」と言われた“意味”を確認する

同じ「手術を考えましょう」という言葉でも、実際には緊急性や優先順位が人によって異なります。まずは、次の点を整理してみてください。

  • 「いつ頃」を目安に話が出ているのか(今すぐ/数か月〜数年後 など)
  • 今の困りごとは何か(歩ける距離、仕事・家事、睡眠、階段など)
  • 画像所見として、どんな説明だったか(メモできているか)
  • 「手術以外の選択肢」をどこまで聞けているか

診察室では緊張して、言葉が頭に入らないこともあります。
受診メモを1冊決めて、聞いたこと・気づいたことを書き溜めておくと、後から落ち着いて振り返りやすくなります。

「自分の言葉」に言い換えるだけで、判断がしやすくなる

医学用語のままだと、あとから見返しても意味がつながらないことがあります。
「どの動きで負担が増えやすいと言われたのか」「何が理由で手術の話が出たのか」など、自分の言葉で書き直すだけでも整理が進みます。


✅ STEP2:主治医に確認したい“手術の中身”を具体化する

「手術を検討」と言われても、手術の種類や目的、術後の見通しが曖昧なままだと、不安だけが膨らみやすくなります。
診察前に、質問を紙に書き出しておくとスムーズです。

  • 今回「手術を勧める理由」は何でしょうか?(痛み/生活の困りごと/画像所見 など)
  • 手術の目的は何ですか?(痛みの軽減、生活動作の負担を減らす、将来の見通し など)
  • 想定している手術名・方法は何ですか?
  • 術後の生活の見通し(仕事復帰、家事、運転、リハビリ期間)はどう考えますか?
  • 手術を急がない場合、注意点と「再受診の目安」はありますか?
  • 今の段階で、やってよい運動・避けたい動きはありますか?

すべてを一度に聞く必要はありません。「何がわかれば自分は決めやすくなるのか」を意識して、質問を少しずつ整えていくのが現実的です。


✅ STEP3:セカンドオピニオンは「不信」ではなく“納得のための整理”

手術を勧められたとき、別の医療機関の意見も聞きたいと思うのは自然なことです。
セカンドオピニオンは、主治医を否定するためではなく、自分が納得して選ぶための情報整理として役に立ちます。

相談するときは、

  • 聞きたいことを3つ程度に絞って持っていく
  • 検査画像・紹介状など、準備物を確認する
  • 「何に迷っているのか」を言語化して伝える

といった準備をしておくと、短い時間でも判断材料が得やすくなります。


✅ STEP4:手術までの期間は「何もしない」ではなく“土台づくり”にできる

手術をすぐ決めるにしても、少し先に検討するにしても、手術までの期間をどう過ごすかは大切です。
ポイントは、無理に頑張ることではなく、

  • 痛みが強くなりやすい動き・姿勢を減らす工夫
  • 長時間同じ姿勢を続けない生活の組み立て
  • 主治医の許可のもとで行う、やさしい運動習慣

といった「日常の土台づくり」です。
効果の表れ方や感じ方には個人差がありますが、“自分で整えられる部分”と“医療に任せる部分”を分けて考えると、気持ちが落ち着きやすくなります。


✅ STEP5:気持ちの揺れは自然。だからこそ「情報の距離感」を持つ

臼蓋形成不全と伝えられたあと、

  • 手術を早めに決めた方の体験談を見て焦る
  • 保存的に長く付き合っている方の話を見て迷う
  • 家族や周囲の意見に気持ちが揺さぶられる

といったことは、ごく自然な反応です。
大切なのは、「誰かの正解」に合わせるのではなく、「自分が納得できる選び方」を探すことです。

インターネット上の情報は参考になりますが、状況が違う方の体験談を読み続けることで、かえって不安が強くなることもあります。
「読んだあとに少し落ち着くかどうか」を目安に、つらくなる情報からは一度距離を置くことも、心を守る工夫です。


まとめ:判断を急がず、「納得できる材料」をそろえる

臼蓋形成不全で手術を勧められたとき、不安や迷いが出るのは当然です。
そんなときこそ、

  • 「手術を勧める」と言われた意味(緊急性や優先順位)を確認する
  • 手術の中身・術後の見通しを具体的に質問できる形にする
  • 必要ならセカンドオピニオンで納得材料を増やす
  • 手術までの期間を「土台づくり」に使う

という流れで少しずつ整理していくと、次の一歩を決めやすくなります。
具体的な治療や手術の判断については、必ず主治医の説明を優先し、必要に応じて担当スタッフとも相談してください。

※ここで述べている内容は一般的な情報であり、一人ひとりの状態を評価したうえでの判断に代わるものではありません。
気になる症状が強い場合や急に変化した場合は、医療機関へご相談ください。

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