スポーツ活動を行っている成長期の子どもに多い腰椎分離症
腰椎分離症とは、腰の骨(腰椎)の後ろ側にある「椎弓」という部分に、繰り返しのストレスがかかることで起こる疲労骨折のことを指します。とくに椎体と椎弓をつなぐ「椎弓峡部」に小さなひびが入り、その部分で椎体と椎弓が分かれてしまった状態です。
画像検査では、この分離した部分がちょうど犬の首輪のように見えることから「スコッチテリアの首輪」と表現されることもあります。分離した腰椎の一部が前方へずれてしまったものは「腰椎分離すべり症」と呼ばれますが、分離やすべりがあっても腰痛をまったく感じない方も多く、必ずしも腰痛の原因とは限りません。
成長期にサッカー・バスケットボール・バレーボール・体操など、ジャンプやダッシュ、腰を大きく反らせる・ひねる動作が多い競技を続けている子どもに起こりやすいとされています。腰を後ろに反らしたときの痛みや、練習の後半になると腰が重だるくなる、といった訴えがきっかけで見つかることもあります。
分離症のごく初期では、一般的なレントゲン写真だけでははっきり写らないことも多く、必要に応じてCTやMRIといった詳しい検査で判断されます。診断自体は整形外科など医療機関で行われますので、長く続く腰痛がある場合は自己判断せず、まず医師にご相談ください。
一般的な保存療法
成長期の子どもで、腰椎分離症が見つかり腰痛が続いている場合、医療機関ではまずスポーツ活動の休止が勧められます。コルセットなどで腰の動きを制限しながら、4〜6カ月程度を目安に、腰に大きな負担のかかる動きを避けて経過をみることが多いようです。その間、適切なタイミングで画像検査を行い、分離した部分に骨癒合(骨がくっつくこと)が得られるかどうかを確認していきます。
骨癒合がうまくいかないケースもありますが、その場合でも漫然と長期間の安静を続けるわけではなく、症状や生活の様子を見ながら運動の再開時期が検討されます。大人になってからたまたま腰椎分離症が見つかっても、痛みなどの症状が特にない場合は、とくに治療の必要がないことも少なくありません。腰痛や脚のしびれなどが続くときには、その都度医療機関で相談しながら対応していきます。
スポーツ活動中止中の運動療法について
腰椎分離症があり、スポーツ活動自体はいったんお休みする必要があっても、適切な範囲での運動療法やトレーニングは実施できます。先ほど触れたように、腰を反らせたりねじったりする動きに負担が集中していることが一つの背景と考えられているため、同じ負担をくり返さないようカラダの使い方を見直していくことが大切です。
腰椎分離症のあるお子さんでは、必要以上に腰が反った姿勢になっていることが多く、詳しく体幹機能を評価してみると腹筋群の働きがうまく使えていないケースがよく見られます。本来、カラダを反らせたりねじったりするときには、胸椎と腰椎がバランスよく分担して動きますが、胸椎の動きが硬くなり、腰だけに負担が集中している場合もあります。
こうした特徴をふまえ、胸椎や股関節など本来よく動いてほしい部分の可動性を高め、うまく働いていない体幹やお尻まわりの筋のコントロールをトレーニングで補っていくことで、復帰後も同じ痛みをくり返しにくいカラダづくりを目指すことができます。骨癒合そのもののスピードを変えられるかどうかははっきりとは言えませんが、適切な運動療法を継続することで、腰の負担が軽くなり、日常生活が楽に感じられる方もいらっしゃいます。
一時的な休養を「カラダを見直す期間」に
個人的には、成長期に腰椎分離症が見つかった場合、いったんスポーツ活動を中止してカラダを休ませる方針には賛成です。実際に疲労骨折が起こっているということは、今続けている練習の量や内容が、その子のカラダにとって負担になり過ぎているサインとも考えられるからです。そのような状態で無理を重ねても、かえってパフォーマンスが伸び悩んでしまうこともあります。
一方で、チーム事情や「どうしても試合に出たい」という気持ちが強く、本人やご家族が頑張り過ぎてしまう現状も少なくありません。大好きなスポーツを長く続けていくためには、短い期間であっても一度立ち止まり、自分のカラダと向き合う時間を持つことがとても大切です。
一時的に競技を休むことは、フォームや体幹の使い方、柔軟性などを見直す良い機会でもあります。「休む=何もしない」ではなく、「カラダを整え直す期間」として前向きにとらえていただければと思います。困ったときは、整形外科やリハビリ職、トレーナーなど、専門家にご相談ください。
フィジカルプラスのスポーツコンディショニングコースについて
フィジカルプラス下関では、成長期のスポーツ障害を経験したお子さんに対しても、競技復帰を見すえたスポーツコンディショニングを行っています。腰椎分離症そのものの診断や治療は医療機関が中心となりますが、復帰までの期間に「体幹の安定性」「胸椎や股関節の動き」「着地や方向転換のフォーム」などを丁寧に確認し、今後のケガを予防しやすいカラダの使い方を一緒に身につけていきます。
「休んでいる期間も、できる範囲でカラダづくりを進めたい」「復帰後に同じ腰痛をくり返したくない」とお考えの方は、下記のページも参考になさってください。

