スポーツ活動をしている成長期に起こりやすい腰椎分離症になったらどうする?

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
スポーツの痛み
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

スポーツ活動を行っている成長期の子供さんに多い腰椎分離症  

腰椎分離症は一般的には椎体と椎弓とをつなぐ椎弓峡部に繰り返し刺激が加わることで疲労骨折が起こり、椎体と椎弓が分離してしまう疾患になります。画像を撮ると丁度、犬が首輪をしたようにみえることからスコッチ犬の首輪と言われたりもします。

多くは成長期においてスポーツ活動を行う際に腰を反らせたりねじったりする動作を繰り返す事で生じやすいと言われています。

 また、分離した腰椎が前方にすべったものが腰椎分離すべり症と呼ばれますが、分離症や分離すべり症があっても腰痛のない方も多くおられ、必ずしも腰痛の原因になるとは言えません。

分離症の初期は多くの疲労骨折がそうであるようにレントゲンでは診断がつきにくく、CTやMRIによって診断することが多いように思います。

一般的な保存療法

 長引く腰痛があり、腰椎分離が見つかると、基本的にはコルセットを装着し4~6カ月間程度スポーツ活動は休止するように医療機関では言われます。途中適時画像診断を行って分離部に骨癒合が得られるとスポーツ復帰となります。分離部の骨癒合がうまくいかない場合もありますが、このような場合でも不必要に長期の安静を取ることはありません。

 大人になってから腰椎分離症が見つかっても特に症状などが見られないことが多く、治療をすることは少ないようです。腰痛や脚のしびれなどが持続したりすればその都度治療をすることになります。

スポーツ活動中止中の運動療法について

腰椎分離症があってスポーツ活動は中止となっていても運動療法を行うことは可能です。上記にも記載したとおり、腰を反らせたり、ねじったりの繰り返しが原因の一つと考えられているため、そのような無理のかかる動作が今後起こらないようにすることで復帰後の痛みの再発を予防できるようになるからです。

腰椎分離症などを持っている多くのお子さんは必要以上に腰が反っていることも多く、詳しく体幹機能を見ていくと腹筋群の機能低下が明らかな場合があります。また本来カラダを反らせたり、ねじったりする場合は胸椎と腰椎の両方が少しずつ分担して行っていますが、それがうまく行えずに胸椎の可動性が低下していたりカラダのあちこちに問題を抱えています。

このような特徴を踏まえて必要な部分の可動性を拡大し、機能不全のある部分をしっかりとトレーニングで補うことで早い復帰が望めるようになります。骨癒合自体は刺激を与えないようにするだけなので、骨癒合自体が早くなるかどうかについては何ともいえませんが、少なくとも正しいトレーニングを継続すると腰痛自体は軽減してきます。

まとめ

個人的にですが、成長期において分離症があれば基本的にはスポーツ活動を中止することには大賛成です。実際に疲労骨折があるわけであり、今現在行っているスポーツ活動自体がカラダに対して負荷がかかリ過ぎているからであり、そのような状態で無理をしてスポーツ活動を継続していてもスポーツパフォーマンスが向上するとは思えないからです。

しかしながら、チーム事情や子供さんが試合に出たい気持ちが強いなどで無理をしてしまう現状があることも承知しています。そのために大好きなスポーツを諦めなければならなくなるようなことがないようにすることが保護者の努めだと考えています。

一時的に休むことは自分自身のカラダについて見つめ直す良い機会と思います。無理せず困ったときは専門家にご相談下さい。

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理学療法士(Physical Therapist)。
病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。現在は「フィジカルプラス下関」代表として、痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元の中高生からプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同している。

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