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人工股関節置換術後の性生活、諦めないで!

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
人工関節手術後(股関節・膝)
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

【男女別・進入法別ガイド】安全な体位と注意点を理学療法士が徹底解説

※本記事にはややセンシティブな内容(手術後の性生活に関する具体的な動作解説)を含みます。苦手な方は閲覧をお控えください。

【必ずお読みください】 本記事は理学療法士の視点から「関節の構造上、負担の少ない動作」を解説するものです。実際の再開時期や可動域の制限については、必ず執刀医(主治医)の指示に従ってください


股関節手術後の生活に「性生活の不安」を抱えるのは自然なことです

股関節の手術(人工股関節・人工骨頭置換術)を受けた後、「性生活はいつ再開していいの?」「脱臼しない安全な体位は?」という不安を抱えるのは自然なことです。

しかし、病院では聞きづらく、ネットにも専門的な情報は少ないのが現状です。

本記事では、下関のフィジカルプラスに在籍する理学療法士が、手術のアプローチ(前方進入・後方進入)に合わせた安全な方法と注意点を徹底解説します。

💡 この記事の結論

  • ✅ 再開の目安
    一般的に術後3ヶ月以降
    (※回復には個人差があるため、医師の許可が最優先です)
  • ✅ 最も安全な体位
    男女ともに「横向き(側臥位)」
  • ⚠️ 術式別の注意点
    ● 後方進入の方:深く曲げる動き・内側にねじる動きに注意
    ● 前方進入の方:後ろに反らす動き・外側にねじる動きに注意

これらを踏まえ、以下で「具体的な体位の図解」と「動作のポイント」を詳しく解説します。


1. 手術後の股関節が抱えるリスクと基礎知識

まず押さえておきたいのは、人工股関節置換術はとても優れた治療法ですが、
股関節を中心とした体勢によって脱臼リスクが高まる という弱点あるという点です。

■ 術後3〜6ヶ月は特に注意

多くの人が「手術後1〜2ヶ月で痛みが減る」ため油断しがちですが、実は 歯止めの役割をする股関節周囲の筋が完全に回復していない ため、身体を捻る・深く曲げるなどの動作で脱臼のリスクが高い時期となります。

【はじめに必ずお読みください】
本記事では安全性の高い体位をご紹介しますが、どのような体位であっても脱臼や痛みのリスクが完全にゼロになるわけではありません。

特に術後まもない時期や久しぶりの性生活の際は、「この体位なら絶対大丈夫」と過信せず、はじめのうちは慎重に、注意深く行うことが大切です。


● 後方進入(最も一般的な術式)で避けたい動作

股関節を深く曲げる(90°以上)

例:深い前屈、しゃがみ込み、体育座りなど。

足を内側にひねる(内旋)

画像の状態から膝を内側に倒す動作はNGです。

膝を内側に寄せる(内転)

足を組む動作などは基本的にやってはいけません。


● 前方進入(侵襲が少ない近年増えている術式)で避けたい動作

股関節を反らせる(過伸展)

足を後ろに大きく伸ばす動作はNG。

足を外側に大きく開く(過外転)

足を横に大きく開きすぎる動作はNG。

外側にひねる(外旋)

つま先を外に大きく開く動作はNG。

例:仰向けで足を大きく開く姿勢、大股で歩く、腰を大きく反らせることも注意が必要です。


● 性生活での脱臼予防の3原則

  1. 痛みや不安を感じない範囲で動く
  2. ねじる動作はできるだけ避ける
  3. “避けたい方向” に股関節が動きすぎない体位を選ぶ

これを踏まえて、男女別・進入法別の解説に入ります。


2. 【男性向け】人工股関節置換術後の安全な性生活ガイド

男性は上になる体位が多く、股関節が深く曲がる場面が増えがちです。
そのため、術式によっては 負担の大きいポジションを避ける必要があります。

2-1. 後方進入の男性(注意点と安全な体位)

後方進入は「股関節の曲げすぎ」+「内側ねじり」で脱臼しやすくなるため、以下の点に注意してください。

▼ 避けるべき体位

深く前屈する体位(上に覆いかぶさる姿勢)
股関節を強く閉じる、膝を内側に捻るポジションはリスクが高まります。

▼ 安全な体位

① 仰向けでパートナーが上になる体位

股関節が深く曲がらず、自分の動き幅をコントロールしやすいため、最も脱臼リスクが低い体位です。
膝を軽く立て、クッションを足の間に挟むとさらに安定します。

② 横向きの体位(スプーン状)

足を大きく動かす必要がなく安全です。股関節のひねりが起こりにくく、長時間続けても負担が少ないのが特徴です。
膝の間にクッションを挟むと膝が内側に入る心配がなく快適に行えます。

③ 後背位(いわゆるバックと言われる体位)

手術側の膝を床につけて片膝立ちで行うと股関節の曲がりすぎを防ぎやすく、重心も安定します。
ベッドに手をついてもらい立ったまま行うとさらに安定性がアップします。


2-2. 前方進入の男性(注意点と安全な体位)

前方進入では「反り腰」や「足の開きすぎ」に注意が必要です。

▼ 避けるべき体位

立ったままでの後背位など

仰向けで足を大きく開く、身体を大きく反らせる、足を外側にひねるポジション。
深く挿入しようとしてカラダを反らせがち、足も開きがちになるため、立ったままの挿入は避けましょう。

▼ 安全な体位

① 仰向けで膝を立て、足の外側にクッションを挟む体位

足の開きすぎや、股関節の伸びすぎ(反りすぎ)を予防できます。
必ず膝を立てるようにしましょう。

② 横向き体位(スプーン状)

後方進入と同様、最も負担が少ない安定した体位です。
カラダを反りすぎないようには気を付けましょう。

③ 椅子やベッドに座る体位

股関節を反らせすぎる動作が起こりにくく、安定した姿勢を取りやすい方法です。
深く腰掛けず浅めに座ると安定性がアップします。


3. 【女性向け】人工股関節置換術後の安全な性生活ガイド

女性の場合は股関節が“開く”“閉じる”動きが広がりやすく、術式によって安全性が変わります。
パートナーの動きに自分の身体が引っ張られることもあるため、事前のコミュニケーションが特に重要です。

3-1. 後方進入の女性(注意点と安全な体位)

▼ 避けるべき体位

膝を畳むと股関節が深く曲がるので注意が必要です。曲がりすぎないように気を付けながら行うと深い挿入感が得られますが要注意です。

ベッドなどに手をついて立った状態で行うと足が閉じづらく、股関節が深く曲がりにくいですが、強い刺激で膝から崩れるリスクがあります。注意深く行う必要があります。

▼ 安全な体位

① 仰向けで膝を立てる体位

足裏をつくことで安定し、股関節の曲がりすぎを防止できます。
自然と足が開きやすいので安心して行えますが、パートナーに足を高く持ち上げられる「深い曲げ」には注意が必要です。

② 横向き体位( 同方向)

痛みが少なくリラックスしやすい体位です。
慣れるまではクッションを挟んで膝が内側に行かないようにしましょう。また手術側は基本的に上にするようにすると安心感があります。

③ 椅子に座る体位(パートナーが下側)

股関節が開きやすく可動域がコントロールしやすい方法です。
膝が閉じにくいので安全ですが、足を大きく持ち上げられる「深い曲げ」には注意が必要です。


3-2. 前方進入の女性(注意点と安全な体位)

▼ 避けるべき体位

③ うつ伏せに近い体位(※注意深く行うべき)

前方進入ではうつ伏せがやや脱臼リスク高めのため、少し膝をついて画像のような形で慎重にゆっくり行いましょう。
お腹の下に厚めのクッションを入れると股関節が伸びすぎないよう調整できますが要注意な体位です。

▼ 安全な体位

① 仰向けで膝を立て、足の外側にクッション

膝を立てたうえで、膝の開きすぎには注意しましょう。
カラダが安定しコントロールしやすいですが、パートナーに腰を持ち上げられると腰が反り、股関節の脱臼方向に動きやすいため、よく話し合ってください。

② 横向きの体位

後方進入同様に、最も安全性が高い体位です。

※どのような方法でも股関節に違和感や痛みを感じたら無理をせず、すぐに中止するようにしてください。


4. 性行為を安全に行うための “コミュニケーション” のコツ

安心して楽しむために大切なのは、
言葉で伝える“準備”と“共有” です。

■ ① 「手術した側」や“不安な動き”を事前に共有する

パートナーはあなたの状態を100%理解していません。
「この方向に動くと不安」「ここを支えてくれると安心」など、遠慮せず伝えましょう。

■ ② 行為前後にかかわらず痛み・不安はすぐ伝える

痛みがある=股関節に負担がかかっているサイン。
一度立て直して姿勢を調整するだけで負担が少なくなることが多いです。

不安があると自分ばかりでなくパートナーも楽しめません。

■ ③ ゆっくり始める

“準備運動” として軽いスキンシップから始めることで、
緊張がほぐれ動きがスムーズになります。慣れないうちは特にゆっくり動くことを意識しましょう。

■ ④ 性交以外のスキンシップも大切

術後の生活で大切なのは「お互いが安心して寄り添える関係」。
コミュニケーションが豊かだと、性生活も自然とスムーズになります。


「安全な体位は分かったけれど、そもそも股関節が硬くて脚が開かない」「動かすのが怖くて力が入ってしまう」という方が実はとても多いです。

性生活を心から楽しむためには、ただ体位を工夫するだけでなく、「必要な角度まで脚を開ける柔軟性」と「身体を支える筋力」を、自宅で少しずつ取り戻すことが一番の近道です。

人に相談しにくいお悩みだからこそ、
まずは「自宅」でケアしてみませんか?

「病院で聞くのは恥ずかしい」「どの程度動いていいのか不安」
そんな方のために、理学療法士が股関節を守りながら可動域を広げるためのガイドブック(PDF)を作成しました。

誰にも会わずに、ご自身のペースで身体の不安を取り除くことができます。

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5. このような症状がある場合は専門家に相談を

以下がある場合は、無理をせず必ず医療の専門家に相談してください。

  • 性行為中に股関節の痛みが出る
  • 外れそうな不安感(脱臼感)がある
  • どの体位でも不安が強く、怖くて動けない
  • 術後の筋力低下や可動域制限が強い

センシティブな内容になりがちで恥ずかしいかもしれませんが、絶対に無理をしないことが大切です。

アクセス・営業時間

フィジカルプラス下関

住所:〒752-0974 山口県下関市長府土居の内町2-9

アクセス:サンデン「城下町長府」バス停 徒歩3分/駐車場あり(店舗前に1台)

営業時間:月〜土 9:30〜19:00 / 日・祝 不定休(営業日は午前中のみ)