手術は最終的に行う可能性が高いが今すぐする必要があるか検討は必要です。
このページでは医療機関において臼蓋形成不全と診断を受けて手術を検討している30代の方がまず手術すべきかどうかについて解説していきます。
まず結論として、小さなお子様がいて手術で入院をすること自体が難しい場合、若い世代で将来人工関節の再置換が予想される場合、条件はありますが可能な限り先延ばしにすることをおすすめします。
臼蓋形成不全による寛骨臼回転骨切り術や人工股関節置換術などの手術自体は、股関節の痛みや将来的な変形を予防するために重要な選択肢の一つです。
しかし、同時に、今すぐしなければならないのか?など手術に対する不安や疑問もたくさんあることと思います。
ここでは、手術を検討されている方によくある悩みや疑問について、わかりやすく解説していきます。
よくある悩みや疑問
- 手術は本当に必要なのか?
- 手術の方法にはどんな種類があるの?
- 手術のメリットとデメリットは?
- 手術後の生活はどうなるの?
- どの病院で手術を受けるべきか?
それぞれの疑問への回答
手術は本当に必要なの?
臼蓋形成不全は、何もせずに放置していると痛みや変形が進み、しゃがめない、靴下が履けない、長い距離を歩けないなど日常生活に大きな支障が出る可能性があります。
日常生活において先に挙げたような不便を感じていなければ、条件はありますが保存療法の適応になる場合もありますのでまずはしっかりと情報収集をしましょう。
そのうえで実際に手術が必要であるかどうかについては、医師とよく相談し、あなたの生活状況に合わせて判断しましょう。
手術の方法にはどんな種類があるの?
臼蓋形成不全の手術には、大きく分けて以下の2つの種類があります。
- 寛骨臼回転骨切り術: 臼蓋の骨を回転させて、大腿骨頭をしっかりと覆うようにする方法です。
- 人工骨頭置換術: 痛みが強く、関節の損傷が大きい場合は股関節自体を人工骨頭などに取り替えます。
どの方法が最適かは、あなたの年齢、症状、関節の状態などによって異なりますが、比較的年齢が若く、関節の状態が悪くなければ寛骨臼回転骨切り術を選択しやすいでしょう。また人工骨頭と違い将来的に再置換をしなくて良いというメリットも骨切り術にはあります。
手術のメリットとデメリットは?
メリット:
- 術後即座に痛みや違和感が軽減される可能性が高い
- 関節の動きが改善され股関節の動きがスムーズになる
- 寛骨臼回転骨切り術では、変形性股関節症の進行を遅らせたり、予防できる可能性が高まる
- 日常生活で歩行を含めた活動が違和感なく送れる様になる可能性がある
デメリット:
- 手術に伴うリスク(大量出血、感染症などを引き起こす可能性がある)
- 最低でも2週間以上の入院やリハビリ期間が必要で子育て世代には周囲の協力が必要となる
- 術式によっては股関節の動きに制限が出る。
- 全ての患者さんが完全に痛みから解放されるとは限らない
- 人工骨頭には耐用年数がありおおよそ15年から20年といわれており、若い世代では再置換が必要となる。
手術後の生活はどうなるの?
手術後は、痛みは比較的早い段階で解消しやすく、世代にかかわらず術後のリハビリテーションが重要になります。
人工骨頭置換術では術式によっては股関節を深く曲げてしゃがんだり、膝を内側に向けて捻ったりと子育て世代ではやってしまいがちだが、やってはいけない動きもあるため担当の医師や理学療法士の指示に従うように心がけましょう。
臼蓋形成不全による手術は比較的若い世代で多く手術後のリハビリ期間は比較的短いことが多いですが、歩き方だけでなく、若い世代では避けて通れない性生活においても細かい指導は実際は少なく迷ってしまうこともあるため注意しましょう。
どの病院で手術を受けるべきか?
手術を受ける病院選びは、とても重要ですが股関節の手術は比較的どこでも頻繁に行われているため以下のことを意識して選択してみるとよいでしょう。
- 専門医がいる病院: 臼蓋形成不全の治療に多くの実績のある医師がいる病院を選ぶようにしましょう。
- 安心感のある手術をしてくれる病院: 術前に自己血を取るところや麻酔の使い方についても病院によってやり方はかなり違います。自分にとって安心感のある手術をしてくれるところを選びましょう。
- 術後も通院しやすい病院: 手術後も一定期間は定期的に通院する必要があります。手術をした側の股関節によっては自動車の運転が一定期間できないなどの条件があります、自宅から近いだけでなく公共交通機関でも利用しやすいところを選択すると良いでしょう。
まとめ
臼蓋形成不全の手術は、決して簡単な決断ではありません。しかし、適切な治療を受けることで、痛みから解放され、快適な生活を送れるようになるでしょう。
しかし比較的若い世代である30代の方では手術を受ける前に、現在の生活環境や将来の生活について考え、場合によっては手術自体を先延ばしにしたほうが良い場合があります。
繰り返しになりますが、現在お子様が小さく入院すること自体が難しい場合や人工骨頭置換術を選択すると30代くらいの方でも50代以降に再置換術を行う可能性が高まります。
複数の医師に相談し、将来的には手術になるとしても保存療法で少し先延ばしにできる可能性がないかなど、様々な方法をを比較検討することが大切です。
また、このページのようなインターネットの情報だけでなく、信頼できる医師や医療機関から正確な情報を収集するようにしましょう。
この文章は、あくまで一般的な情報提供を目的としています。より詳しい情報については、医師にご相談ください。
もし、あなたが保存療法についてさらに詳しく知りたい場合は、お気軽にご質問ください。