日本整形外科学会の調査によると、日本で腰痛の人は約3000万人いると推計されています。
非常にたくさんの方が腰痛に悩み、仕方ないと諦め、受け入れている方もいますが、日頃から適切なケアと対策を行うことで日常生活には影響をほとんど及ぼさない状態にすることは可能だと思います。
今回の記事では、画像で診断のつかないような姿勢の問題、運動不足、筋肉の緊張に問題がある場合の腰痛を対象とした毎日続けやすい実用的な腰痛対策について紹介します。
整形外科等で画像診断上原因がはっきりしない腰痛でお困りの方や予防したい方に役立つ情報になると思います。
1. 自分自身の腰痛の原因を見つけましょう
まずは自分自身の腰痛の原因が何かを知ることが大切です。そのためにはまず整形外科等で画像診断を受けましょう。画像診断で問題がないと言われれば腰痛の一般的な原因と考えられる筋肉の緊張、姿勢の問題、運動不足などに対して個別に対策することができるようになります。
2. 長時間同じ姿勢を取り続けないように注意しましょう
普段から腰に負担の少ない姿勢を保つことは腰痛を予防するということにおいて大変重要なことです。学校や仕事などでデスクワークが多い場合は適切な椅子や机の高さを選ぶように心がけるようにしましょう。
実際には自分にあったものを使用することは難しいかもしれません。その際は一定時間経ったら立ち上がって少し歩く、軽い体操を行うなどして同じ姿勢で長時間過ごすことがないように心がけることが必要になります。
また椅子に腰掛けている際は背もたれに背中を付けないようにすると良い姿勢が保ちやすくなります。立っている時は、足を軽く前後に開いて立つこをと心がけると良いでしょう。
これは前後に足を開くことで腰椎の過度な前弯(腰が反っている状態)を防げるため反り腰が気になる方では特に有効になります。
3. 軽い運動を毎日の生活に取り入れましょう
一般的に運動は腰痛の予防と対策に効果的と言われています。ウォーキング、ヨガ、水泳など低負荷の運動から始めて、徐々に強度を上げていくと良い効果が得られます。
しかし、これらは時間の問題やコストの問題など普段の生活に取り入れるには若干抵抗がある方が多いのではないでしょうか?
例えばウォーキングの場合、コスト的には有利ですが天候や気温に左右されやすく歩く時間帯など以外に気をつけなければならない要素があります。
ヨガは自宅で動画等を参考にやることは出来ますが、コンテンツ選びを間違えると本来の目的と変わってしまったり、かえって体を痛めたりすることがあるため注意雨が必要です。
水泳ではスポーツジムに入会したりジムまでの移動時間などロスが多くコストもそれなりにかかりますので毎日取り入れるにはやはりハードルが高くなってしまいます。
腰痛予防や改善のための運動は実はそれほど難しいことを行う必要はありません。ダイエット目的などでもそうなのですが道具が必要ない、どこでもいつでもできる、着替えをしなくて良い、天候や気温に左右されないものが毎日継続しやすい運動になると思います。
腰痛のある方では腰椎や骨盤、股関節周りに体の硬さを感じていることが多いため周辺をしっかりと動かすことがポイントになります。
私自身の考える最も手軽な運動は足踏み運動です。
足踏み運動?と思われた方が多いかと思いますが何も考えずにただ足踏みをするわけではなくいくつかポイントがありますのでそのまま読み進めて頂ければと思います。
ポイント1
膝をおへその位置まで高く挙げるようにして足踏みをする。このようにすることで腰椎や骨盤、股関節周りをしっかりと動かすことができ、腰回りの筋肉を解すことができます。
また足は人の体の中では筋肉量も多いため十分な重さがありそれだけで負荷になりますので、十分な運動量を取るのに時間がかかりません。思った以上に疲れますよ。
ポイント2
腰痛があって足踏みが難しい場合はテーブルや杖、手すりを利用して行って良い。
普段から腰痛がある場合はバランスを保つ力も落ちていることが多々あります。足踏み運動を目的は大きく動かすことなので、バランスに不安がある場合はテーブルなどの道具を使って行っても全く問題がないのです。
ポイント3
足踏み運動をするタイミングを決めておく。
これは何時になったら行うと決めても良いのですが、できれば時間でなく、食後に行う、休憩時間に入ったら行う、お風呂に入る前に行うなど普段から毎日行っている行動の前後に運動をするようにすると継続しやすくなりますのでぜひ参考にしてください。
ポイント4
慣れるまでは少ない回数や時間で良い。
運動の効果によって腰痛に変化が現れるには時間がある程度必要になります。いきなり100回!とかやってしまうと続かなくなるのではじめのうちは10回だけやってみようという感じで始めてもらって大丈夫です。
毎日続けることに慣れてきたら1分から3分くらい行うと息が切れるくらいの運動量になり、呼吸に伴うリラクゼーションの効果も出てきますのでより効果的になります。
少ない回数だと確かに効率は悪くなるのですが、多少効率が悪くても毎日コツコツ継続できる方が結果が出ますのでとにかく毎日やるということを決めて回数にはあまりこだわらずという形が良いと思います。
ポイント5
多少腰に痛みが出ても毎日行うようにうする。
理学療法士としての立場から言うと通常痛みが出た場合は運動を中止する場合が多いのですが、今回紹介している足踏み運動は痛みがあっても少ない回数であれば普通に行える運動であり、負荷を自由に調整できる運動です。日常生活でベッドから起き上がれないなどの強い痛みでなければ数回でも良いので続けましょう。
4. ストレスを溜め込みすぎないように気をつけましょう
私達人間の脳は、元々腰痛など様々な痛みに対して痛みを和らげる機能を持っています。
通常であれば神経伝達物質など(セロトニンやノルアドレナリン)が放出され、脳に痛みの信号を伝えないように体は勝手に対処します。
しかし、家庭や職場での日常生活におけるストレスや心理的な要因による不調、疾患などがあると、この痛みを和らげる機能がうまく働かなくなり慢性的に痛みを感じたり、少しの痛みでも強い痛みと感じ取ってしまうような状態になってしまいます。
このような状態は筋肉の過剰な緊張を引き起こしたり、腰痛を慢性化させたりして良いことはありません。
日常的にストレスを感じたり、メンタルの不調がある場合は心療内科やカウンセリングを利用したりすることも慢性的な腰痛の改善には必要になります。
受診の目安としては朝方に腰痛を強く感じるか、夕方に強く感じるかは一つの目安になると思います。
私は医師ではありませんのであくまでも参考にして頂ければ良いのですが、朝方に腰痛を強く感じる場合は心理的要因が関係している可能性があると言われています。
これは一般的な腰痛では日中の活動を行うことで腰に対する負荷が強くなり夕方に痛みが強くなる傾向がありますが、心理的要因が関係している場合朝から午前中に体調が悪く感じられたり意欲の低下が現れたりするためで活動量が増えてくると症状が軽減することがあるためです。
前述した運動を継続するだけでもストレス軽減には役に立つと思われますが、腰痛が良くならず不安感がある場合は医療機関などの受診も視野に入れてみると良いでしょう。
まとめ
腰痛は実に多くの方が体験する痛みですが、普段から適切なケア、運動など継続的な対策を日常的に行うことで、腰痛は軽減、もしくはあってもあまり気にならない生活を行うことができる可能性があります。
特に医療機関での画像診断で問題がない場合原因がはっきりせず悩んでしまいがちですが、身体的な負担だけでなくストレスや各種疾患などの心理的要因で腰痛が悪化するという視点も持って頂けるとより順調に快適な日常生活を取り戻せるのではないかと思います。
普段から自分自身で気をつけられることを気をつけ、定期的な運動、ストレス管理などは専門家の手助けを借りたりして出来るだけ速やかに対処することを心がけて頂ければ幸いです。
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