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「原因不明」の腰痛はもう古い?理学療法士が考える”見落とされやすい腰痛”とは

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
「原因不明」の腰痛はもう古い?理学療法士が考える"見落とされやすい腰痛 腰痛・しびれ
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

「異常なし」と言われても腰が痛い…


「レントゲンもMRIも異常ありません。様子を見ましょう。」

このように説明を受けたにもかかわらず、つらい腰の痛みが続いている方は少なくありません。「骨には異常がないのに、なぜこんなに痛むのだろう…」と不安になってしまいますよね。

腰痛は多くの方が一度は経験すると言われる身近な症状です。骨折や感染、腫瘍など、緊急性の高い腰痛は全体の一部であり、多くの腰痛は一般的な画像検査だけでははっきりと原因を特定できないことも珍しくありません。

そのため、「異常なし=問題がない」という意味ではなく、「画像だけでは説明しきれない要素が隠れている」というケースも少なくないと言われています。

フィジカルプラス下関でも、このような方ほど姿勢や動作を詳しく確認していくと、腰へ負担をかける特有のバランスやつながりが見つかることがあります。

「原因不明」と言われる腰痛にも、さまざまな考え方がある

近年では、これまで特定が難しかった腰痛のメカニズムについて、さまざまな研究が進められています。

最新研究で注目される「微細な変化」の一例
その一つとして、炎症が長引いた組織の周辺に微細な血管と神経が増える現象(いわゆるモヤモヤ血管と呼ばれる状態)についての研究が挙げられます。

関節や椎間板などで微細な炎症が長く続くと、本来は少ないはずの細い血管が増え、それに伴って神経も一緒に伸びてしまうことで、痛みに敏感な状態が作られる可能性があると言われています。通常のMRIでは捉えにくいものの、造影剤を用いた特殊な検査などで確認できる場合があるという報告もあります。

ただし、この考え方だけで全ての腰痛が説明できるわけではなく、現在も研究が進められている分野の一つとして捉えられており、今後まだまだ検証が必要かと思われます。

注目されるカテーテル治療という選択肢


こうした背景から、近年では異常な血管を対象としたカテーテル治療というアプローチも研究・実施されるようになってきました。細いカテーテルから薬剤を注入してアプローチを試みる方法で、医療機関において腰痛に対する新しい治療の選択肢の一つとして紹介されています。

一方で、すべての腰痛に適応となるわけではなく、実際の診断や適応の可否については、専門医による慎重な判断が必要とされています。

フィジカルプラスが重視する「構造・姿勢・動作」の3つの視点


たとえ最新の研究によって「特定の場所に微細な変化が起きている可能性」が示唆されたとしても、理学療法士としてはもう一歩踏み込んで考えたい大切な視点があります。それは、「なぜ、その場所にばかり負担が集中してしまったのか」ということです。

フィジカルプラス下関では、身体を「構造」「姿勢」「動作」の3つの要素が連動したものとして捉えています。

【フィジカルプラスの視点】

  1. 構造(骨や関節、筋肉の付着部など、本来の身体の仕組み)
  2. 姿勢(立っているとき、座っているときのベースとなる構え)
  3. 動作(歩く、かがむ、寝返るなど、実際の身体の動かし方)
    画像検査で映し出されるのは、主に「構造」の一部分(静止した状態)です。しかし、人間の身体は常に動いています。「構造」のベースとなる「姿勢」が崩れ、さらに日常の「動作」で特定の不自然な使い方が繰り返されると、結果として腰痛を例にすると骨盤や股関節など特定のパーツにストレスが集中しやすくなると言われています。

理学療法士の専門性はやはり動作ですので、この3つのつながりを紐解くため、画像データだけでなく以下のような実際の身体の使い方を詳しく確認し、総合的に評価を行うことが特徴と言えます。

立ち方や座り方のバランス

歩くときの手足と体幹の連動

前かがみになったり、後ろに反ったりする動き

骨盤の上手なコントロール

股関節や胸椎(胸のあたりの背骨)の柔軟性と連動性

同じ「腰が痛い」というお悩みであっても、姿勢や動作の特徴は一人ひとり全く異なります。画像だけでは見えてこない「負担のかかり方のプロセス」を理学療法士の視点で丁寧に評価することが、腰痛の本質を見つめ直す上でとても大切だと考えています。

腰痛が起こりやすいと言われている代表的な場所(構造の視点)


近年の研究では、腰痛のサインは以下のような様々な部位(構造)において、炎症や刺激が関係して生じている可能性があると言われています。

① 椎間関節(ついかんかんせつ)
背骨の後方にある小さな関節です。腰を後ろに反らしたときや、長時間立ち続けたときに負担がかかりやすい場所と言われています。

② 仙腸関節(せんちょうかんせつ)
骨盤の真ん中にある骨と左右の骨をつなぐ関節で、お尻に近い部分の違和感として現れることがあります。片脚に体重をかける癖などで偏ったストレスがかかりやすいとも考えられています。

③ 筋肉の付着部
背中や腰の筋肉が骨へとつながる緊密な部分です。姿勢が崩れた状態で同じ動作が繰り返されると、筋肉そのものだけでなく、この付着部にも持続的な引きつれストレスが加わることがあります。

④ 椎間板(ついかんばん)
背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている組織です。朝起きた直後の動きや、前かがみの姿勢を続けたときに負担が増えやすい傾向があるとも言われています。

⑤ 椎体内部(モディック変化)
背骨の本体である「椎体」の内部に、微細なストレスなどによる変化がみられる状態(モディック変化)です。MRIで確認されることがあり、腰痛との関連性が研究されています。

⑥ 腰椎分離症の既往
成長期にスポーツを熱心にされていた方などで、過去に生じた腰椎分離症の痕跡が、大人になってからの周囲のバランス変化に伴い、痛みの要因を形成することがあると言われています。

このように、痛みの出発点となり得る「構造」の候補はたくさんあります。だからこそ、「なぜそこが刺激されてしまうのか」を、普段の「姿勢」や「動作」から評価していくアプローチが重要になります。


腰の周辺に負担がかかっているとしても、その引き金が腰そのものにあるとは限りません。

股関節の動きが硬いために、腰が代わりに動きすぎていないか

骨盤の傾きに左右の偏りはないか

胸椎(胸の背骨)が十分に動かない分を、腰だけでかばっていないか

このように、痛みがある局所だけを見るのではなく、姿勢や動作の特徴を一つひとつ丁寧に確認しながら、身体全体のバランスを整理していくことが理学療法士の大切な役割です。

病院の検査で「特に異常は見当たりません」と言われた方であっても、実際の身体の動きを確認すると、「なるほど、これなら腰に負担が集中してしまうのも頷ける」という具体的なヒントが見つかるケースは非常に多く存在します。

まとめ


「異常なし」と言われたからといって、今ある痛みを「気のせい」だと諦めたり、ただ我慢し続けたりする必要はありません。

近年では、これまで画像では捉えにくかった領域についても研究が進み、新しい解釈や選択肢が報告されるようになってきました。

その一方で、身体に負担が生じてしまう背景には、日頃の姿勢の癖や動作の偏りが深く関係していることが少なくありません。

フィジカルプラス下関では、画像からだけでは見えにくい身体のダイナミックな動きを、理学療法士の視点から丁寧に確認いたします。一人ひとりの生活スタイルやよく行う動作に合わせて、どこにどのような負担がかかっているかを整理することを何よりも大切にしています。

長く続く腰痛でお悩みの方は、「どこに問題があるのか」という視点に加えて、「なぜそこに負担がかかってしまうのか」という「姿勢と動作」の視点から、ご自身の身体を見つめ直してみてはいかがでしょうか。そこには、健やかな毎日を取り戻すための新しい気づきが隠されているかもしれません。

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理学療法士(Physical Therapist)。
下関市内の病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。「フィジカルプラス下関」代表としても、14年以上痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元下関の中高生を中心にプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同していた。

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