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病院では歩けたのに自宅で杖が必要になるのはなぜ?人工関節術後の生活と動作の工夫

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
下関・宇部・山陽小野田で人工関節術後自宅に帰ったらうまく歩けなくて困っていませんか?ちょっとした工夫で生活は驚くほど楽になります 人工関節手術後(股関節・膝)
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

病院内と自宅でのギャップで途方に暮れていませんか?

「病院のリハビリ室では、理学療法士に見守られながら杖なしで20分も歩けたのに……」

人工関節置換術という大きな手術を乗り越え、いよいよ待ちに待った我が家への退院。

「これからはどんどん良くなって自分の足で行きたいところへ行ける!」と自信を持って自宅の玄関をくぐった途端、待っていたのは予想もしない現実だったという方が少なくありません。

家に戻った途端、これまで感じなかった、足裏の方から上に向かって出るズキズキとする痛み、結局、病院ではもういらないと思っていたはずの杖に頼らなければ不安で歩けなくなってしまう。

足は夕方になるとパンパンにむくんでしまい、尚更歩きづらくなる始末・・・

歩くたびに「人工関節の手術は間違っていたのだろうか?」「これから先、ずっと杖が手放せない生活が続くのだろうか」と、不安で押しつぶされそうになっていませんか?

病院のリハビリでは1時間立ちっぱなしでも平気だったのに、なぜ自宅に戻ると思うように歩けなくなってしまうのか。そこには、レントゲン写真や数字には写らない、「環境の変化」と「お身体の無意識のブレーキ」という明確な理由が隠れていることがあります。

この記事では、理学療法士として28年、延べ4万人以上のリハビリ現場に立ち会ってきた専門家の視点から、退院後に多くの方が直面する「歩きにくさの正体」と、お身体の負担を優しく逃がすための動作の紐解き方についてお伝えします。

なぜ?病院では20分「独歩」で歩けたのに、自宅では杖が必要になる理由

リハビリ室から比較的遠い病棟から毎日自分で往復し、あんなに歩く練習を積み重ねて自信をつけて退院したのに、我が家に戻った瞬間に歩けなくなる。これは、決してあなたのお身体の筋力が急に落ちたわけでも、手術が失敗したわけでもありません。

理由は主に3つ考えられます。

1. 「完全に平らな床」と「自宅の中にある段差のある床」の決定的な違い

入院中は一生懸命にリハビリを行い歩くことだけに集中しているため気が付きにくいですが、病院の廊下やリハビリ室の床は、自宅の床と違い、医療空間として「1ミリの凹凸も斜面もない、完全に管理された平らな床」と言った状態に非常に近い形で作られています。

さらに敷居などの段差もなく、滑りにくく、認識しやすい色の床材が使われています。

ところが、自宅に戻ると、日本の家屋にはわずかな畳の縁の段差、敷居、玄関の上がり框(かまち)、じゅうたんの厚み、使いづらい階段の手すりなどが存在します。さらに玄関アプローチ前には手すりのない2,3段の階段や斜面が存在することが多くあります。

普段は意識することがほぼない、この「わずかな環境の違い」に対して、手術をしたばかりのデリケートなお身体(関節、筋肉なども含めて)は、想像以上の警戒アラートを脳に送ってしまうのです。

2. 頼れる専門家が「視界から消えた」ことによる脳のアラート

病院では、理学療法士などの専門家が常にすぐ横で見守ってくれていました。「万が一バランスを崩しても支えてくれる」という圧倒的な安心感が脳にあるとき、人間は無意識に100%の力を発揮し、滑らかな独歩(杖なしの歩行)を行いやすくなります。

ところが、自宅では誰も見てもくれなければ、支えてもくれません。

あなたの脳は無意識に「転んではいけない! 手術した場所を守らなきゃ!」と過剰な警戒態勢に入り、お身体全体の筋肉をガチガチに固めてしまいます。

この「脳の防衛ブレーキ」が、歩行時のバランス不良や不安につながるため、足が棒のように固まったり、杖が手放せなくなったりする原因の本質と言えるでしょう。

3. 上げ膳据え膳から「逃げ場のない生活動作」への急変

病院では、食事は決まった時間に運ばれ、お風呂やトイレへの動線も最短距離で安全に整理されているために、基本的には歩くこと「だけ」に集中すれば良い環境だったのです。

自宅に戻った途端、買い物に行くための車の乗り降り、狭いキッチンでの方向転換、靴下を履く際のかがみ動作、洗濯物を干す動作など、物を持って歩くなど全方向に複雑な動きが要求されます。リハビリ室での安全が確保された直線的で基本的な歩行練習だけでは対応しきれない、リアルな日常生活での負荷が遠慮なくのしかかっているのです。

「足のむくみと足裏からの痛み」を姿勢と動作の視点で紐解く

退院後に多くの方が悩まされる「夕方になると足がパンパンにむくむ」「足裏の方から上に向かって突き上げるように痛む」という状態。

これについても、ただ「手術の余韻」として片付けるのではなく、お身体の動かし方のクセ(機能の視点)から紐解くことで、負担を和らげるヒントが見えてきます。

特に、臼蓋形成不全による人工関節の術後の方では元々腰の不調(脊柱管の狭窄など)があり、足に軽い痺れや麻痺などの左右差が残っていることもあります。

お身体は無意識のうちに「使いやすい側の足」だけで全体を支えようとします。手術によって足の長さの左右差(脚長差)が綺麗に調整されたとしても、脳と筋肉が覚えている「長年のクセづいた非対称な歩き方」は、リハビリをして、退院したからすぐに自動的に書き換わるわけではないのです。

足の長さが揃っていたとしても、以前と同じままのカラダの使い方を続けてしまうと、手術側には着地の衝撃がクッションなしでダイレクトに足裏やふくらはぎへ伝わることになります。

また、筋肉が緊張で硬く強張った状態で歩くため、本来は歩くことでポンプのように血液を上へと押し戻すはずのふくらはぎの機能が十分に発揮できずに、水分が下に溜まって「パンパンのむくみ」を引き起こし、足裏から上に向かう違和感、つっぱり感など痛みの火種となってしまうのです。

今から自宅でできる「2つのホッとする工夫」

今現在の生活がうまくできていなくても多くの方では「このまま一生、家の中でも片杖生活が続くのだろうか……」と絶望する必要は一切ありません。

手術によって関節の土台(構造)はしっかりと整えられているのですから、ここからは、その土台を活かして「いかに脳の警戒アラートを解き、全身の筋肉のチームプレー(機能)を再設計するか」のステップです。まずは、ご自宅で以下の2つの環境調整から始めてみてください。

① 家の中での移動こそ「あえて杖を正しく使う」

「早く杖なしで歩かなきゃ」という焦りから、無理に家の中で壁を伝ったり、痛みを我慢して引きずるように歩くのは逆効果です。脳の警戒アラートがさらに強まり、感覚障害や筋肉の強張りが増してしまいます。

まずは脳に「歩いても痛くない、安全だ」という感覚を最優先で脳に再学習させるために、家の中でもあえて杖を正しい方法でしっかりと使い、安心感の中で滑らかに体重を乗せる練習をしてください。「安心感の中で動く」ことこそが、強張ったふくらはぎを緩め、むくみや違和感を軽減させる一番の近道です。

② 車の乗り降りや椅子の立ち座りでの「ワンクッション」

自宅の生活で最も股関節や腰に突発的なねじれの負荷がかかるのが、車のシートへの乗り降りと、低い椅子からの立ち座りです。

車に乗る際は、足から斜めに入ろうとせず、一度お尻からシートに腰掛け、両足を揃えて回転させるように車内へ入れる工夫(環境の調整)をしてください。日常のちょっとした「ねじれストレス」を先回りしてカットしてあげることで、関節の周囲への無駄な負担が減り痛みや違和感が落ち着き始めます。

退院後の「我が家での歩きにくさ」にお一人で悩んでいませんか?

病院でのリハビリ期限が迫っている方や、退院したものの自宅での動かし方に不安が残り、「この状況がずっと続くのでは」と孤独な恐怖を抱えている下関エリアの方へ。フィジカルプラス下関では、ベッドの上の調整だけでなく、実際の生活環境(立ち座り、歩行の連動性)を理学療法士の視点から詳細に分析し、あなたのお身体に合わせた負担の少ない「効率の良い体の使い方」を一緒に整理していきます。

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  ▼ 「10年後のあなたを救えるのは、今の決断だけです。病院のリハビリで変わらなかった理由を探すお手伝いを致します。」痛みや動きのお悩みは、専門家にご相談ください

病院でのリハビリ終了後も続く不調や、長引く痛み。
フィジカルプラスでは、理学療法士が「医学的な視点」で身体を分析し、あなたをサポートします。

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理学療法士(Physical Therapist)。
下関市内の病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。「フィジカルプラス下関」代表としても、14年以上痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元下関の中高生を中心にプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同していた。

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