変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、痛みや機能障害を引き起こす一般的な疾患です。
膝の痛みが強く変形がある方は多くの場合、かかとの骨が左右どちらかに大きく倒れており、膝と足が本来の位置にたいしてズレてしまっている方がほとんどです。
実際には膝の痛みが強くお悩みの方の 多くの方が高級なインソールなどを購入したり、オーダーメイドで作成したりしているかと思います。
進められるがままにインソールを購入するのではなく、まずは今回紹介する方法で痛みがどの程度変わるのか確認してみてからでも遅くはないのではないでしょうか?
膝の痛みや機能において、かかとの位置は非常に大切で、日常的に痛みを感じている方の場合は、その位置関係を元に修正することで痛みの度合いをコントロールすることも可能です。
そこで今回は、誰でも簡単にできる靴のインソールの改良方法を、かかとの位置関係から確認し、紹介していきます。
かかとの位置と膝OAの関係
変形や痛みのあるなしに関わらず、かかとの位置は足部全体の構造と密接に関連しており、立位や歩行時の体重負荷を分散させる役割を担っています。
しかし、変形性膝関節症をお持ちの方では、以下のような変化が見られることがあります。まずは画像で確認してみましょう!
ニュートラル

理想的な本来のかかとの位置になります。 直立し、足に体重をかけた時に下腿と足を縦線で結ぶと、かかとの骨がまっすぐか、ほんの少し内側に倒れている状態です。
回内足

回内足は、膝関節の特に内側に過剰な負荷をかけ、変形性膝関節症の痛みを強くしたり、変形を加速させる可能性があります。
直立し、足に体重をかけた時に下腿と足を縦線で結ぶと、内くるぶしが過剰に内側に倒れ、後ろから見るとかかとが内側に倒れ込んでいる状態になります。
歩くときの衝撃に対する吸収力がうまく働かず、床に力が伝わりにくくなります。 扁平足などで土踏まずが低下している状態の方が多いです。
回外足

回外足の方では膝関節の外側に過剰な負荷をかけ、変形性膝関節症の痛みを強くしたり、変形を加速させる可能性があります。
直立し、足に体重をかけた時に下腿と足を縦線で結ぶと、外くるぶしが過剰に外側に倒れ、後ろから見るとかかとの骨も外側に倒れ込んでいる状態になります。
歩行時などにかかる衝撃が足裏の外側の部分に集中してしまい、正しく床に接地しにくくなります。
かかとの位置を自分で確認してみよう!
- 鏡の前に立つ:
- 姿見のような全身が映る鏡の前に、後ろ向きにまっすぐ立ちます。
- 後ろからの撮影:
- スマートフォンを使って、後ろから足全体の写真を撮ります。
- 誰かに撮ってもらうか、セルフタイマーを使うと良いでしょう。
- かかとの傾きを確認:
- 写真や鏡に映った自分の足を見て、かかとの骨がどちらかに傾いていないか確認します。
- まっすぐ立っている状態で、かかとが内側または外側に傾いている場合は、足の位置関係に注意が必要です。特に左右差の確認をしておきましょぅ。
ポイント
- リラックスして、自然な状態で立ちましょう。
- 写真を確認する際は、左右のかかとの位置を比較してみましょう。
- ご自身で判断が難しい場合は、専門家(医師や理学療法士)に相談してみてください
インソールを改良してみましょう!
準備するもの
- 布製ガムテープ(重ねて貼り付けることが出来るもの)
- ハサミ
- 靴の中敷きが取り外せる場合は、そのまま使用します。
- 取り外せない場合や、より調整しやすい中敷きを使いたい場合は、100円ショップなどで別の中敷きを購入して使用します。

改良の手順
- ガムテープの準備
- ガムテープを10cm程度の長さに切ります。
- 切ったガムテープを4枚重ねて貼り、厚みを出します。

重ねたガムテープを、縦に三分割して細長く切ります。

回内足(かかとが内側に倒れる場合)の改良
インソールを裏返して、画像のようにします。


- 細長く切ったガムテープを、中敷きのかかと後ろ側から内側に向けて貼り付けます。
- このとき、ガムテープに数カ所切れ込みを入れておくと、中敷きのカーブに合わせてきれいに貼りやすくなります。
回外足(かかとが外側に倒れる場合)の改良

- 先程のガムテープの残り使用します。
- 細長く切ったガムテープを、中敷きのかかと後ろ側から外側に貼り付けます。
- こちらも、切れ込みを入れるときれいに貼り付けやすいです。
- 調整
- まずはそのままガムテープを貼り付けたインソールを靴に入れて履いてみましょう。
- 違和感や痛みが強くなる場合は、ガムテープの厚みをまずは薄くしてください。
- 実際に足踏みや歩くなどして調子が良いと感じたら最後に余分な部分を切り取りましょう。
布製ガムテープを利用するポイント
- ガムテープは布製のものを使用すると、剥がれにく、ズレにくくなります。
- ガムテープの厚みは、はじめのうちは厚くし過ぎないように調整してください。
- 最初は少しずつ調整し、痛みの違いなど様子を見ながら変更していくのがおすすめです。
まとめ
この方法では、変形性膝関節症の方でも、ご自身の足の状態に合わせて手軽にインソールを改良できます。ぜひお試しいただき、快適な歩行や膝の痛みの軽減にお役立てください。万が一、痛みや違和感が強くなった場合は、すぐに使用を中止してください。
もう少し付け加えるとこの方法は、中敷きでいうところのカップインソールと同様の効果が期待できます。違いとしては、かかとに特化して貼り付けられるため、左右差のある変形性膝関節症の方でも調整しやすい点が挙げられます。
もし、ご自身での調整が難しい場合や、症状が改善しない場合は、専門家にご相談ください。
上記の情報が、変形性膝関節症の方の痛みの軽減に少しでもお役に立てれば幸いです。