変形性膝関節症の方は「膝のねじれ」と「しっかり伸ばすこと」を意識しましょう
変形性膝関節症で膝に痛みがある方の多くは、膝が強くねじれていたり、まっすぐに伸びきらない状態になっています。この「ねじれ」と「伸びづらさ」が続くと、日常生活の動作で膝への負担が増えやすくなります。
そこで今回は、膝をしっかり伸ばすこととねじれを整えることに焦点をあてて、ご自宅で行いやすい運動療法を画像とともにご紹介します。
運動を行う際は、次の3つのポイントを意識してみてください。
- 膝関節の周囲をやわらかく保つ
- 膝関節の「正しい向き・位置」を知る
- 日常生活の中で「膝が伸びているか」を意識する
これらを踏まえたうえで、具体的な運動メニューを順番に見ていきましょう。
① 膝まわりをゆるめて、動きやすい状態を作る
膝まわりの皮膚をやさしく動かす
まずは膝の「表面」からほぐしていきます。椅子に浅く腰かけ、力みすぎない姿勢をとりましょう。
① 膝のお皿(膝蓋骨)のまわりの皮膚を、指先でつまみ上げます。
② つまみ上げたまま、皮膚を前後・左右にやさしく引っ張り、膝まわり一周をぐるっとなぞるように動かします。
③ そのあとに、膝の曲げ伸ばしを軽く5回ほど行います。
これを目安として5セット繰り返します。皮膚が弱い方や内出血しやすい方は、強くつまみすぎないように注意してください。
膝のお皿の動きを広げる
次に、膝のお皿そのものを動かしていきます。床やベッドの上で膝を伸ばした姿勢になりましょう。
① 膝を伸ばした状態で、お皿を両手の指でそっと押さえます。
② 痛みのない範囲で、上下・左右に小さくスライドさせるように動かします。
③ そのあと膝を軽く5回曲げ伸ばしし、再び膝を伸ばした状態でお皿を同じように動かします。
この流れを5セット程度行いましょう。お皿まわりが固まっている方ほど、少しずつ動きやすさの変化を感じることがあります。
膝のねじれを整える
膝関節は「曲げ伸ばし」だけでなく、わずかなねじれも関わっています。変形性膝関節症の方では、このねじれが強くなっていることがよく見られます。
まずは、自分の膝がどちらにねじれやすいのか確認してみましょう。
① 椅子に座り、膝のお皿と、その少し下にある脛骨粗面(スネの骨の出っ張り)に触れます。
通常は、この出っ張りが膝のお皿の中心より、やや外側を向いていることが多いですが、変形性膝関節症の方では、この出っ張りが外側にずれ、ねじれが強くなっていることがよくあります。
② 椅子に座った状態で、膝から下(スネ〜足首)を軽く持ち、つま先を内側に向けるようにして5秒キープします。
※もし脛骨粗面が内側を向いている場合は、反対につま先を外側に向けて5秒キープします。
③ そのあと、膝の曲げ伸ばしを軽く5回ほど行います。
これを5セット繰り返していきましょう。少しずつ膝の向きの感覚が変わってくる方もいます。
② 「膝を伸ばす感覚」を取り戻すトレーニング
椅子に座って行う膝伸ばし
膝がきちんと伸びているかどうかは、歩行や立ち上がりの安定に大きく関わります。次は、膝を伸ばす意識を高める運動です。
① 椅子に座り、片側の膝を前に伸ばします。浅く座り、かかとを床につけたままでも構いません。
② つま先をしっかり上に向け、膝裏が伸びる感覚を意識しながら5秒キープします。
※ふくらはぎに軽いハリを感じる程度を目安に行いましょう。
③ そのあと、軽く膝を曲げ伸ばししてから再度同じ動きを行います。
ふくらはぎの張りが少し和らぐまでを目安に、5回程度繰り返してみてください。
つま先立ち(カーフレイズ)で膝を伸ばしやすくする
ふくらはぎをしっかり使うことで、膝が伸びやすくなり、立位や歩行時の安定にもつながりやすくなります。
① 壁やキッチンカウンターなどに手をつき、足を揃えて立ちます。
② 膝を曲げないように意識しながら、ゆっくりとかかとを持ち上げてつま先立ちになります。
③ その姿勢を5秒ほどキープし、ゆっくりとかかとを下ろします。
これを5回程度繰り返します。ふらつきが心配な方は、必ず何かにつかまりながら行ってください。
まとめ:膝の「ねじれ」と「伸び」を整えることが日常生活を支えます
ここまで、変形性膝関節症の方が毎日コツコツ続けやすい運動療法をご紹介しました。
変形性膝関節症の多くの方は、膝がしっかり伸びにくく、ねじれが強くなっている傾向があります。今回のメニューは、そのねじれを整えつつ、膝をまっすぐ伸ばしやすくすることを目的とした内容です。
一つひとつの動きはシンプルですが、「どの向きで」「どこを意識して」行うかが大切になります。無理のない範囲で続けていくことで、膝が少しずつ伸びやすくなり、動作中の違和感が軽くなる方もいらっしゃいます。
最後に、運動を行う際の注意点をまとめておきます。
【運動を行うときの注意点】
- 運動中に強い痛みが出た場合は、いったん中止し様子をみてください。
- 回数やセット数は、体調やその日の状態に合わせて調整しましょう。
- 動かしたあとは、膝まわりがじんわり温かくなる程度を目安に無理なく続けることが大切です。
ここでご紹介した内容は一例です。他にも膝の状態に合わせて試していただきたい運動がありますので、必要に応じて専門家に相談しながら取り入れてみてください。
ご自身だけで判断するのが不安な場合や、「自分の膝の状態に合ったやり方を知りたい」という方は、専門家のチェックを受けることをおすすめします。
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