30代、子育て世代で臼蓋形成不全による股関節の手術を検討されている方へ

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
股関節の痛み・臼蓋形成不全
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

\ 股関節の痛み・違和感でお困りの方へ /

下関のフィジカルプラスでは、臼蓋形成不全・変形性股関節症・人工股関節術後など、股関節のお悩みに対して 姿勢と動作を整える専門的なサポートを行っています。

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手術は「最終的な選択肢の一つ」。ただし、今すぐかどうかは丁寧な検討が必要です

このページでは、医療機関で臼蓋形成不全と診断され、30代で手術を検討している方が、
「本当に今、手術を選ぶべきなのか?」を考える際の視点についてまとめています。
結論から言うと、小さなお子さんがいて長期入院が現実的ではない場合や、将来的な人工関節の再置換の可能性が高い年齢層の方では、条件によっては手術のタイミングを慎重に検討することも選択肢になりえます。

臼蓋形成不全に対する寛骨臼回転骨切り術や人工股関節置換術などの手術は、
股関節の痛みや将来の変形リスクに向き合ううえで、とても大切な治療手段の一つです。
一方で、

  • 「今すぐ手術した方がいいのか」
  • 「しばらく保存療法で様子を見てもよいのか」
  • 「子育てや仕事とどう両立したらよいのか」

など、不安や疑問が多くて当然だと思います。
ここでは、実際にご相談として多いポイントを整理しながら、考え方のヒントをお伝えしていきます。

よく聞かれるお悩み・疑問

  • 手術は本当に必要なのか?
  • どんな種類の手術があるのか?
  • 手術のメリットとデメリットは?
  • 手術後の生活・仕事・子育てはどうなるのか?
  • どの病院・どの先生に相談すればよいのか?

それぞれの疑問に対する考え方

手術は本当に必要なの?

臼蓋形成不全は、放っておくと痛みや変形が進み、
しゃがむ・靴下を履く・長く歩くといった動作に支障が出てくる可能性があります。

ただし、

  • まだ大きな日常生活動作の制限は少ない
  • 痛みの波はあるが、工夫次第で過ごせている日もある
  • 画像所見と症状のバランスから、医師も保存療法の選択肢を示している

といった場合には、条件次第で保存療法を中心とした方針がとられることもあります。
そのため、「今、本当に手術が必要な段階なのか」「どのくらいの期間、保存療法で様子を見られそうか」を、
主治医とよく話し合っておくことが大切です。

手術が適しているかどうかは、
レントゲンやMRIなどの画像所見だけでなく、年齢・生活環境・今後の希望などによっても変わります。
納得しやすくするためにも、一度で決めてしまわず、必要に応じてセカンドオピニオンを活用するのも一つの方法です。

手術の方法にはどんな種類があるの?

臼蓋形成不全に関連する代表的な手術としては、大きく次のような方法が挙げられます。

  • 寛骨臼回転骨切り術

    臼蓋の骨を一部切って回転させ、大腿骨頭を今よりもしっかり覆うようにする手術です。
  • 人工股関節(あるいは人工骨頭)置換術

    痛みが強い・変形が進んでいるなどの場合に、股関節の一部または全体を人工物に置き換える方法です。

どの方法が適しているかは、

  • 年齢
  • 関節の変形の程度
  • 痛みの場所や強さ
  • 日常生活・お仕事・子育ての状況

などによっても変わってきます。
比較的若く、関節の変形が高度ではない場合には、ご自身の関節を活かす骨切り術が検討されやすいこともあります。
一方で、すでに変形が進んでいる場合には、人工股関節が候補になるケースもあります。

それぞれにメリット・注意点があるため、「どの方法なら自分の生活に合いそうか」を、
医師からしっかり説明を受けながら整理してみてください。

手術のメリットとデメリットは?

◆ 手術の主なメリット

  • 痛みや違和感が和らぎ、日常生活が送りやすくなることが期待できる
  • 股関節の動かしやすさが変化し、動作の選択肢が広がる場合がある
  • 寛骨臼回転骨切り術では、将来の変形性股関節症の進行を抑えることが期待されるケースもある
  • 歩行や立ち上がりなどの負担が軽くなり、活動の幅を広げやすくなる方もいる

※いずれも、状態や経過には個人差があります。

◆ 手術の主なデメリット・注意点

  • 手術そのものに伴うリスク(出血・感染など)がある
  • 入院期間やリハビリ期間が必要で、子育て・仕事との調整が欠かせない
  • 術式や状態によっては、股関節の動きに一定の制限が残ることもある
  • すべての方が完全に痛みから解放されるわけではない
  • 人工股関節は耐用年数があり、若い年代で手術を受けると将来的に再置換が必要となる可能性がある

こうした点をふまえ、「今の痛み・生活の困りごと」と「手術に伴う負担」を、
ご家族や医師と一緒に天秤にかけながら検討していくことが大切です。

手術後の生活はどうなるの?

手術後は、世代を問わずリハビリテーションがとても重要になります。
人工股関節置換術の場合、術式や方向によっては、

  • 深くしゃがみ込む姿勢
  • 膝を内側に入れるような動き
  • 股関節を大きくねじる動き

など、控えたほうがよい動作がある場合もあります。
とくに小さなお子さんがいる世代では、日常的に行いがちな動作が制限にかかることもあるため、
担当医や理学療法士から具体的な指導を受けておくと安心です。

臼蓋形成不全に対する骨切り術は、比較的若い世代で行われることも多く、
そのぶん早期から仕事や家事への復帰を希望される方も少なくありません。
歩き方・体重のかけ方・階段の上り下りなど、術後の動作は一つひとつ確認しながら、
無理のないペースで日常生活に戻っていくイメージを持てるとよいでしょう。

また、術後の性生活などについては、医療現場でも細かい説明が十分でないこともあります。
気になる点があれば遠慮せず、主治医やリハビリ担当者に質問しておくと、安心材料が増えていきます。

どの病院で手術を受けるべきか?

股関節の手術は、多くの医療機関で行われている一方で、
病院ごと・医師ごとに得意とする術式やこだわりが異なることがあります。
次のようなポイントも参考にしながら検討してみてください。

  • 股関節診療を得意とする医師がいるか

    臼蓋形成不全や股関節の手術経験が豊富な医師がいるかどうかを確認しておくと安心です。
  • 術前・術後の説明に納得感が持てるか

    自己血の有無や麻酔の方針、リハビリの進め方など、事前の説明が丁寧かどうかも判断材料になります。
  • 術後に通院しやすい環境か

    一定期間は定期通院が必要になるため、公共交通機関の利用のしやすさなども含めて検討しておくと安心です。

人工股関節・人工骨頭置換術後の方へ

手術後の 「歩きにくさ・違和感」 が続いていませんか?

人工関節の術後に多い 歩きにくさ・脚長差の感覚・疲れやすさ などについて、
理学療法士が姿勢と動きの視点からサポートの考え方をまとめたページです。

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まとめ|手術の「タイミング」を考えるときに大切にしたいこと

臼蓋形成不全の手術は、決して軽い決断ではありません。
適切な時期に適切な方法を選ぶことで、将来を見据えた股関節との付き合い方が変わってくる可能性があります。

一方で、30代という比較的若い世代では、

  • 小さなお子さんがいて長期入院そのものが難しい
  • 人工股関節を選択した場合、将来的な再置換の可能性が高まる

といった事情から、「今すぐではなく、もう少し保存療法で様子を見たい」と感じられる方も少なくありません。
複数の医師に相談し、

  • 保存療法でどこまで対応できそうか
  • どの程度の変化があれば手術を検討した方がよいのか
  • 自分の生活スタイルに合った選択肢は何か

といった点を整理しておくと、「納得して決める」ことにつながりやすくなります。
インターネット上の情報はあくまで参考材料の一つとして捉え、
最終的な判断は、信頼できる医師や医療機関からの説明をもとに行うようにしましょう。

この文章は、臼蓋形成不全と手術の選択について考える際の一般的な情報提供を目的としたものです。
実際の治療方針や手術の適応については、必ず担当の医師にご相談ください。

「できれば手術を先送りしたい」と考えている方へ

初期〜中期の変形性股関節症や臼蓋形成不全では、医療機関でもまず保存療法が選択されることが多く、
適切なリハビリや日常生活の工夫によって、手術のタイミングを慎重に見直すきっかけになる場合もあります。

実際にフィジカルプラスには、
「人工関節を勧められているが、できるだけ自分の股関節を大切に使っていきたい」
「病院でのリハビリは終わったけれど、まだ自分の可能性を知りたい」
という思いで通われている方もいらっしゃいます。

そのような方に対して、
痛みの出やすい動作・可動域・歩き方などを丁寧に整理し、
日常生活の中で続けやすいエクササイズや体の使い方を一緒に考えていくことで、
ご自身の股関節とできるだけ長く付き合っていくためのサポートを目指しています。
(※効果の感じ方や経過には個人差があります)

また、病院でのリハビリ期間が終了したあとも、
股関節と長く付き合っていくうえでのフォローを受けられる場としてご利用いただくことも可能です。

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理学療法士(Physical Therapist)。
病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。現在は「フィジカルプラス下関」代表として、痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元の中高生からプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同している。

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