臼蓋形成不全のある方は痛みがなくてもライフスタイルの変化に注意

この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)
股関節の痛み・臼蓋形成不全
この記事の執筆・監修:理学療法士 木村柄珠(フィジカルプラス下関)

結婚・出産・仕事復帰をきっかけに股関節がつらくなった方へ|臼蓋形成不全とライフスタイルの関係

これまで特に気にしていなかった股関節が、
結婚・出産・子育て・仕事復帰などのタイミングをきっかけに、急につらく感じ始める方が少なくありません。

病院を受診してはじめて「臼蓋形成不全があります」「将来的には変形性股関節症になるかもしれません」と伝えられ、
「いきなり手術の話まで出てきて不安になった…」という声もここ下関でよく耳にします。

臼蓋形成不全があるからといって、必ず手術になるわけではありません。
ただし、ライフスタイルが変わるタイミングで股関節への負担が一気に高まることがあるため、早めの対策が大切になります。

違和感から始まる股関節のつらさを「放置しない」ことが大切

フィジカルプラスに臼蓋形成不全を指摘されて来られる方の多くは、
最初から強い痛みがあったわけではありません。

はじめは、

  • 長時間立ち仕事をした日の夕方だけ股関節が重だるい
  • たくさん歩いた日の夜だけ違和感が出る
  • 寝返りをしたときに「ん?」と感じる程度の痛み

といった、一晩寝れば何とかおさまっていたサインから始まることがほとんどです。

ところが、忙しさの中で「そのうち良くなるだろう」と放置しているうちに、

  • 足が開きにくい
  • 靴下が履きづらい・爪が切りづらい
  • 痛みが取れず、日常生活の中でずっと股関節が気になる

といった状態になってから、初めて医療機関を受診される方が多い印象です。

まずお伝えしたいのは、こうした「一時的な違和感や軽い痛み」をそのままにしないことです。
小さなサインに早めに気づいて対策しておくことで、その後の経過が変わる可能性があります。

ライフスタイルの変化で股関節に負担がかかりやすくなるタイミング

臼蓋形成不全そのものは生まれつきの骨の形の問題ですが、
「どのタイミングで痛みが表に出てくるか」には、生活の変化が深く関わっていることが多いと感じています。

フィジカルプラスに来られる方で、痛みが強くなりやすい場面として

  • 結婚・引っ越し…家事量の増加、慣れない環境での立ち仕事が増える
  • 妊娠・出産…体重の変化やホルモンの影響、骨盤周りの安定性の変化
  • 子育て…抱っこ・おんぶ・中腰姿勢が増え、片側だけに体重をかけやすい
  • 仕事復帰・配置転換…長時間の立ち仕事・歩行・階段昇降が増える
  • 新しい運動習慣のスタート(ヨガ、太極拳、マラソンなど)…大きな可動域や反復動作が増える

といったものがよく挙げられます。

これらに共通しているのは、

  • 今までよりも股関節を動かす量が増える
  • 特定の動きや姿勢が繰り返される
  • 気づかないうちに片脚に体重を乗せる時間が長くなる

という点です。

臼蓋形成不全がある方の場合、こうした負担が重なっていくと、
股関節の可動性が少しずつ低下し、周囲の筋肉もこわばりやすくなります。
その結果、「今まで何ともなかった動き」でも痛みを感じやすくなることがあります。

日本独自の生活習慣と股関節への負担

臼蓋形成不全は日本人女性に多いと言われていますが、
その背景には生活様式や姿勢のくせも関係していると考えられます。

たとえば、次のような習慣は股関節に負担がかかりやすい動きです。

  • 和式の生活…深くしゃがむ・正座やあぐらで長時間過ごす
  • 特徴的な姿勢…お腹や背中の筋力バランスが崩れ、腰や股関節に頼った立ち方になる
  • 内股での歩き方…和服文化の影響などでつま先が内側を向きやすい
  • ヨガ・太極拳・ストレッチなどで可動域を広げすぎる…もともとの関節の形以上の動きを無理に出そうとする
  • 立ち仕事でいつも同じ脚に体重をかける…片側の筋肉と関節に負担が集中する

すべてが悪いというわけではありませんが、
「頑張りすぎない」「必要以上に大きな動きを無理に出さない」ことが、股関節にとってはとても大切です。

ライフスタイルが変わったときに見直したい3つのポイント

結婚・出産・仕事復帰など、大きな変化があったときには、次の3つを一度振り返ってみてください。

  • ① 日常の動きで片脚ばかりに体重をかけていないか?

    ・抱っこや荷物を持つとき、いつも同じ側に寄せていないか

    ・立ち話やキッチンでの作業中、片脚に体重を乗せ続けていないか
  • ② 無理に股関節を大きく動かしすぎていないか?

    ・ヨガやストレッチで「痛気持ちいい」を通り越していないか

    ・可動域を広げることだけを目的にしていないか
  • ③ 違和感や一時的な痛みを「様子見」のままにしていないか?

    ・何度も同じ場所が気になるのに、そのまま頑張り続けていないか

こうしたポイントを一人で判断するのは難しいことも多いため、
「少しおかしいな」と感じた時点で、早めに体の専門家へ相談することをおすすめします。

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下関のフィジカルプラスでは、臼蓋形成不全や変形性股関節症など、 股関節に不安をお持ちの方に対して、姿勢・歩き方・体重のかけ方を細かく確認しながら、 日常生活を送りやすくするためのサポートを行っています。
「手術と言われて不安」「結婚・出産後から股関節がつらい」といったご相談だけでも大丈夫です。

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臼蓋形成不全と付き合いながら生活していくために

臼蓋形成不全があるからといって、すぐに手術になるわけではありません。
一方で、股関節の可動域低下や筋肉のこわばり、歩き方のくせをそのままにして生活を続けてしまうと、
「爪が切れない」「和式の動作ができない」「少しの外出でも不安」といった状態に近づいてしまうこともあります。

大切なのは、

  • 今の股関節の状態を正しく把握すること
  • 生活の中で股関節に負担をかけすぎている場面を知ること
  • ご自身に合った「動き方・歩き方」を身につけていくこと

だと考えています。

「臼蓋形成不全と言われてから、何をどこまでしていいのか分からない」
「結婚や出産をきっかけに股関節がつらくなってきた」
そんな不安がある方は、一度ご相談ください。

臼蓋形成不全と股関節の不安についてまとめたページでも、考え方や対処のポイントをご紹介しています。

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理学療法士(Physical Therapist)。
病院勤務時代には、延べ4万人以上のリハビリテーションに携わる。現在は「フィジカルプラス下関」代表として、痛みや動きにくさと向き合いながら生活や競技を続けていくためのコンディショニング支援を中心に活動。地元の中高生からプロアスリートまで幅広くサポートし、山口県スポーツ協会認定トレーナーとして10年以上国スポにも帯同している。

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