膝の痛みや不安があるあなたへ。無理なくできる「太もものケア」
膝を支えるために一番大切な筋肉、それが太ももの前側にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」です。
「膝のために筋肉をつけなきゃ」と頑張る方は多いですが、膝に痛みや変形がある場合、良かれと思ってやった運動が、逆に膝の負担になってしまうことがよくあります。
特に、「重りをつけて膝を曲げ伸ばしする」といった運動は、関節の中で骨同士がこすれ合い、痛みを悪化させる原因になりかねません。
そこで今回は、下関で多くの方の膝の悩みと向き合ってきた理学療法士が、「膝関節を傷めずに、筋肉に刺激を入れる」ための、とても安全な調整方法をご紹介します。
座ったまま・寝たままできるので、膝が痛くて動くのが怖いという方も、まずはここから始めてみましょう。
1. 膝を守るための大原則:「動かさずに力だけ入れる」
膝の調整で一番大切なのは、「関節をガリガリと動かさないこと」です。
専門的には「アイソメトリクス」と言いますが、簡単に言うと「膝を曲げ伸ばしせずに、筋肉にギュッと力を入れる練習」が、最も安全で効果的です。
関節を動かさないので、骨や軟骨への負担は最小限。それでいて、弱った筋肉を目覚めさせることができます。
2. 座ったままできる!膝にやさしい運動
お仕事の休憩中や、テレビを見ている時などに座ったままできる方法です。
運動①:タオルつぶし(膝の裏を使う練習)
狙い:太ももの内側の筋肉を刺激して、膝を安定させます。
- イスに深く座り、膝の下(膝裏)に丸めたバスタオル(またはクッション)を挟みます。
- かかとは床につけたまま、膝の裏でタオルを真下にギュ〜ッと押しつぶします。
- 太ももの前側が硬くなっているのを感じたら、その状態で5秒間キープします。
- ゆっくり力を抜きます。
回数: 左右各10回 × 2セット
運動②:ふんわり足上げ(太もも全体の練習)
狙い:関節に負担をかけずに、太ももを持ち上げる力を養います。
※ここがポイント!
膝を「ピン!」と一直線に伸ばしきると、膝のお皿に強い圧力がかかり、痛むことがあります。あえて「少し緩めた状態」で行うのがコツです。力を入れたり抜いたりすることで太ももの余分な緊張が少しずつ落ちていく運動になります。
- イスに座り、片方の脚を前に出します。
- 膝を無理に伸ばしきらず、「少し曲がっていて楽な角度」で止めます(膝をロックしないイメージ)。
- その膝の角度を保ったまま、太ももの付け根から脚全体を床から数センチだけ持ち上げます。
- 太ももの前側がプルプルと頑張っているのを感じながら、3秒間キープして下ろします。
回数: 左右各10回 × 2セット
3. 寝たままできる!とても安全な運動
痛みが強くて座っているのもつらい時や、就寝前におすすめの方法です。
運動③:つま先クイクイ運動(お皿まわりの調整)
狙い:膝のお皿(膝蓋骨)を筋肉でスムーズに動かせるようにします。
- 仰向けに寝て、脚を伸ばします(膝の下にクッションを入れて少し曲げてもOK)。
- 足の力を抜いた状態から、つま先を自分の方へゆっくり手前に引きます。
- すると、太ももの前側に力が入り、膝のお皿がクイッと手前に動くのが分かると思います。
- 動いたことを確認したら、ストンと力を抜きます。これをリズミカルに行います。
回数: 20回程度
運動④:小さなお尻上げ(裏側の筋肉を使う)
狙い:前側ばかり使いすぎないよう、お尻(裏側)の筋肉を使えるようにします。注意点としては腰が反らないようにお腹に力を入れて行いましょう。
- 仰向けに寝て、両膝を立てます。
- お尻の穴をキュッと締め、お尻を床からこぶし1個分だけ浮かせます(高く上げる必要はありません)。
- 太ももの前側ではなく、お尻や太ももの裏側が硬くなっていればOKです。
- 5秒間キープして、ゆっくり下ろします。
回数: 10回 × 2セット
運動⑤:立ったままのかかと上げ
狙い:膝の関節を大きく動かすことなく、太ももの前側の筋肉に適切な刺激が入ります。注意点としてはバランスを崩すことがあるので手すりやテーブルを軽く持って転ばないようにしましょう。
- テーブル等を持って両足をくっつけるようにして立ちます。
- 膝が曲がらないようにかかとを上がるところまで挙げます。(高く上げる必要はありません)
- ふくらはぎと、太ももの前側硬くなっていればOKです。
- 5秒間キープして、ゆっくり下ろします。
回数: 10回 × 2セット
4. これだけは避けて!膝を痛める「NG動作」
よかれと思ってやっているその運動が、実は膝の負担になっているかもしれません。以下の動作には注意してください。
| 注意したい動作 | なぜダメなの? | 代わりの運動は? |
| 重りをつけて膝を伸ばす | 関節の中で骨が強くこすれ合い、軟骨を痛める原因になります。 | タオルつぶしなど、関節を動かさない運動に変えましょう。 |
| 深いスクワット | 深くしゃがむと、膝に体重の何倍もの圧力がかかります。 | 小さなお尻上げや、立ったままのかかと上げが安全です。 |
| 痛いのに我慢して続ける | 「痛み=効いている」ではありません。炎症が長引くだけです。 | まずは安静にするか、痛くない範囲で足首を動かすだけにしましょう。 |
5. 「私の膝、これで合ってる?」と不安な方へ
今回ご紹介した運動はとても安全なものですが、膝の状態はお一人おひとり違います。
- セルフケアを続けても痛みが変わらない
- 膝がグラグラする感じが消えない
- もっと自分に合った歩き方や運動を知りたい
そう感じる方は、一度専門家に膝の状態をチェックしてもらうことをおすすめします。
太ももの筋肉がうまく働かない原因は、実は股関節の硬さや、膝の関節のねじれにあることも多いのです。
フィジカルプラス下関では、理学療法士があなたの「立ち方・歩き方・体のクセ」を丁寧に見て、膝に負担をかけないためのオーダーメイドの調整を行います。
「もう年だから…」とあきらめる前に、まずは今の状態を一緒に整理してみませんか?
▼ 膝の痛み・変形性膝関節症でお悩みの方へ
「私の膝の痛みも、姿勢や動き方と関係あるの?」
「手術を勧められているけれど、その前にできることを整理したい」
そんな方は、フィジカルプラスの「膝の痛みへのアプローチ」について詳しく解説したページをぜひご覧ください。
痛みの背景にある原因の探し方や、実際のサポート内容についてご紹介しています。
※変形性膝関節症の方や、長引く膝の不調にお困りの方に多く読まれています。
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